6月, 2021年

証人義務と証言拒絶権

2021-06-14

 裁判所は、特別の定めがある場合を除き、何人でも証人として尋問できる(民事訴訟法190条)とされ、証人は、供述義務を負いますが、一定の事項に関して証言拒絶権を認められています(同法196条、197条等)。

 そこで、この証言拒絶権に基づく証言拒否が問題になった裁判例を見ると、東京高裁平成4年6月19日決定は、公証人法上の守秘義務は、嘱託人の公証制度に対する信頼保護を目的とするが、公正証書遺言作成当時における遺言者の意思能力の有無が争点になっていて証書を作成した公証人の証言に代替し得る適切な証拠方法がない場合には、当該争点の判断に必要な限度で遺言者の秘密が開示されることもやむを得ないとしています。

 また、東京地裁平成18年5月22日決定は、たとえ取材源として想定される者が刑罰法規で担保された守秘義務規定に違反している疑いがあっても、公益通報者保護法の趣旨からして情報を開示した者を保護するとともに国その他の公的機関や公務員による当該違法行為等を一般に開示して責任追及を可能とし再発を防止する必要があることから、取材記者は証言を拒否することができるとし、最高裁平成18年10月3日決定は、事実報道の自由は憲法二一条により保障され、報道のための取材の自由を確保する取材源の秘密は重要な社会的価値を有するから、取材源に係る証言は保護に値する秘密として原則として拒絶できるとしています。

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裁判において証明の必要がない顕著な事実

2021-06-07

 裁判において判決の基礎になる事実については証明が必要となりますが、証明なくして判決の基礎になるものとして「顕著な事実」(民事訴訟法179条)があります。

 この「顕著な事実」に関する裁判例を見ると、最高裁昭和28年9月11日判決が、「顕著な事実」は、公知の事実のほか、当該裁判所にとって職務上顕著な事実も含み、後者は必ずしも一般に了知されていることを要しないとしています。

 また、最高裁昭和31年7月20日判決は、構成員の過半数が共通の二つの裁判所に同一取引に関する民事・刑事の両事件が同時に係属する場合において、先になされた刑事判決の理由中で一定の事実を認定したことは他の裁判所にとって顕著であるから、当事者がこれと異なる事実についての自白を取り消し刑事判決の認定に沿う事実が真実に合致すると主張するときは、その真実性を判断するに当たり前記の顕著な事実をも資料としなければならないとしています。

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