11月, 2021年

財産分与に含まれるもの

2021-11-29

   夫婦が離婚する場合、離婚をした者の一方は、相手方に対して財産分与を請求することができる(民法768条1項、771条)とされています。

   この財産分与に何が含まれるかが問題となった裁判例を見ると、最高裁昭和46年7月23日判決は、財産分与は夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を精算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の生計の維持を図ることを目的とするものであるが、離婚による慰謝料を含めることもできるとしています。また、最高裁昭和53年11月14日判決は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも財産分与に含めることができるとしています。なお、財産分与と慰謝料との関係について、上記最高裁昭和46年7月23日判決は、財産分与には慰謝料を含めることもできるが、既になされた財産分与がそれを含めた趣旨とは解されないか、又はその額及び方法において不十分と認められるときには別個に慰謝料を請求できるとしています。


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使用者責任における「事業のために他人を使用する関係」

2021-11-22

   民法715条1項は、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うと規定しています。

   このある事業のために他人を使用する関係に当たるとされた事例に関する裁判例を見ると、元請負人が下請負人に対して指揮・監督する権利を保有し、両者にあたかも使用者・被用者のような関係が存在する場合(大審院昭和11年2月12日判決)、貸切自動車営業者の名義を承諾を得て借用し、貸切旅客運送業を行い、名義料・諸税費用を支払い、かつ名義貸与者のもとに起居し同人の倉庫に自動車を格納している場合(大審院昭和11年11月13日判決)、下請負人の被用者に対し、元請負人が下請負人と同様の指揮・監督をしていた場合(最高裁昭和45年2月12日判決)、兄が弟に兄所有の自動車を運転させこれに同乗して自宅に帰る途中、助手席で運転の指示をしていた等の事情がある場合(最高裁昭和56年11月27日判決)などにおいてこの関係に当たるとされています。


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土地工作物責任における瑕疵

2021-11-15

   民法717条1項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と規定しています。

   この瑕疵があるかどうかが問題となった裁判例を見ると、大審院昭和12年7月17日判決は、電気事業者が電気工作物規程に従って桑樹の間を通して高圧電流を通ずる電線を架設したところ、後に桑樹が生育したためそれに登った者が感電死した場合には、外部の状況の変化に対応した安全な処置を尽くさなかった点に瑕疵があるとしています。また、最高裁昭和46年4月23日判決は、踏切道の軌道施設は保安設備と併せ一体として考察されるべきであり、見通しが悪く交通・列車回数が多く過去数度に及ぶ事故のあった電車の踏切に保安設備が欠けている場合は、土地の工作物たる軌道施設の設置に瑕疵があるとしています。


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前の遺言と後の遺言の抵触による遺言の撤回

2021-11-08

 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従ってその遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。そして、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす(同法1023条1項)とされています。

 前の遺言と後の遺言が「抵触」するかどうかが問題となった裁判例を見ると、大審院昭和18年3月19日判決が、金1万円を与える旨の遺言をした後、遺言者が右遺贈に代えて生前に金5000円を受遺者に贈与することとし受遺者もその後金銭の要求をしない旨を約した場合について、抵触するとし、また、最高裁昭和56年11月13日判決が、終生扶養を受けることを前提として養子縁組をした上その所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者が、その後養子に対する不信の念を深くし協議離縁をした場合について、抵触するとしています。

 一方、最高裁昭和43年12月24日判決は、遺言による寄附行為に基づく財団設立行為がされて両者が競合する形式になった場合においても、右生前処分の寄附行為に基づく財団設立行為がいまだ主務官庁の許可を得ずその財団が設立されていない場合について、抵触しないとしています。

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遺留分減殺請求権を行使できる期間

2021-11-01

 被相続人の処分によって奪われることのない相続人に留保された相続財産の一定の割合を遺留分と言いますが、この遺留分に基づく減殺請求については、「遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから一年間行使しないときは、時効によって消滅する」とされています(民法1042条)。

 この遺留分減殺請求権を行使できる期間に関する裁判例を見ると、減殺すべき贈与があったことを知った時の意義について、最高裁昭和57年11月12日判決は、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時と解すべきであるから、遺留分権利者が贈与の無効を信じて訴訟上争っているような場合はこれに当たらないとしながら、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されたことを遺留分権利者が認識している場合には、その無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともと首肯し得る特段の事情が認められない限り、右贈与が減殺できることを知っていたと推認するのが相当であるとしています。

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