Archive for the ‘ブログ’ Category
株式譲渡の自由と従業員持株制度
従業員に対する福利厚生や愛社精神の育成などのために自社の株式を有利な条件で従業員に保有させる従業員持株制度を導入している企業がありますが、株式の自由な譲渡を制限し、退職時には株式を一定額で会社に譲渡すると定められているのが通常であるため、このような譲渡制限契約が株式会社において株式の譲渡は原則として自由(会社法127条)とされていることや公序良俗(民法90条)に違反しないかが問題となります。
この点につき裁判例を見ると、このような契約を有効としているものがほとんどのようです。従業員が制度の趣旨を了解し毎年8から30%の割合による配当を受けていた事案に関して最高裁平成7年4月25日判決は、退職の際には額面額で取得した株式を額面額で取締役会の指定する者に譲渡するとの合意は、商法204条1項(現会社法127条)や公序良俗に反しないとしています。
また、日刊新聞を発行する非公開会社の事案に関して最高裁平成21年2月17日判決は、株式の保有資格者を原則として現役の従業員等に限定し、個人的理由により株式を売却する必要が生じたときなどには持株会が額面額で買い戻すとの定めは、その内容に合理性がないとは言えないとして会社法127条や公序良俗に反しないとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

当事務所内で咲く花
消費者トラブルを救済するための消費者裁判手続特例法
消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(消費者裁判手続特例法)が平成28年10月1日から施行されます。
消費者庁によると、平成27年度の全国の消費生活センターなどに寄せられた消費者トラブルに関する相談件数は約93万件ありましたが、相談者の4割が被害回復のための行動に出ず、訴訟を提起した人は1%に満たなかったところ、この消費者裁判手続特例法により被害者に代わって国が認定する「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して損害賠償を請求出来るようになります。
この裁判は、「共通義務確認訴訟」という第1段階と「対象債権の確定手続」という第2段階に分けて行われます。第1段階では、「特定適格消費者団体」が訴訟を提起して裁判所が企業に賠償義務があるかどうかを判断します。そして、「義務あり」と判断されると「特定適格消費者団体」が被害者に対しホームページなどで裁判への参加を呼びかけて裁判所がそれぞれに対する賠償額を決めます。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

当事務所内で咲く花
就労可能な在留資格への変更
外国人の在留資格には、事業を行って収入を得たり報酬を得たりする就労が可能な「技術・人文知識・国際業務」などと就労が予定されていない「短期滞在」「留学」「家族滞在」などがありますが、就労が予定されていない在留資格から就労が可能な在留資格への変更が問題となることがあります。
この点、「短期滞在」という在留資格から他の在留資格への変更は、やむを得ない特別の事情がなければ許可しないということになっています(出入国管理及び難民認定法20条3項ただし書)。そのため、実務上、「短期滞在」から他の資格への変更は、ほとんど認められていないようです。
また、「短期滞在」以外の在留資格から他の在留資格への変更は、変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することが出来るとされています(出入国管理及び難民認定法20条3項)。そして、この判断に関するものとして「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」があります。
なお、在留資格の変更で就労することが出来ない場合でも、希望する在留資格の「在留資格認定証明書」(出入国管理及び難民認定法7条の2)を取得してから再来日して希望する就労をすることが考えられます。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

当事務所内で咲く花
上場会社における一般株主を保護する独立役員
独立して経営監督機能を発揮することを期待されるものとして社外取締役が存在しますが、東京証券取引所(東証)では、一般株主保護の見地からより強い独立性を求めるため、上場会社に対し、一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役である独立役員を1名以上確保することを企業行動規範の遵守すべき事項としています。また、当該企業行動規範の遵守状況を確認するため、東証への独立役員届出書の提出を求めています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)
傷病休職と労働契約の終了
休職とは、労働者に就労させることが適切でない場合に労働契約を存続させつつ労働義務を一時消滅させることで、傷病休職、事故欠勤休職、起訴休職、出向休職などがありますが、傷病休職において、どれ位回復していれば治癒したと判断され、労働契約の終了という効果が発生しないのかという問題があります。
この点、裁判例をみると、従前の職務を支障なく行える状態にまでは回復していなくても、相当期間内に治癒することが見込まれ、かつ、当人に適切なより軽い作業が現に存在するときには、病気が治癒するまでの間、使用者は、労働者をその業務に配置すべき信義則上の義務を負い労働契約の終了という効果は発生しないとされているようです(東京地裁昭和59年1月27日判決、大阪地裁平成11年10月4日判決、大阪地裁平成11年10月18日判決、大阪地裁平成20年1月25日、東京地裁平成22年3月24日判決、東京地裁平成23年2月25日判決など)。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)
日本人の配偶者と離婚・死別した外国人の在留資格
日本に滞在する外国人には在留資格が必要となりますが、「日本人の配偶者等」という在留資格で日本において生活している外国人が日本人の配偶者と離婚しょうとしている場合や離婚・死別した場合にその在留資格がどうなるのかという問題があります。
まず、別居状態にあるが離婚は成立していないという場合に「日本人の配偶者等」という在留資格で在留期間の更新が認められるかという問題に関する裁判例を見ると、最高裁平成14年10月17日判決は、共同生活の実態が無く回復の見込みが全く無い場合には「日本人の配偶者等」という在留資格への該当性を失うとしていますが、東京地裁平成9年9月19日判決は、婚姻関係の修復維持の可能性がある場合には在留資格への該当性は失われないとしています。入管でも別居の経緯や関係修復の意思、子の有無等を考慮して「日本人の配偶者等」という在留資格で在留期間の更新を許可することがあるようです。
また、離婚が成立したり死別した場合には「定住者」という在留資格への在留資格の変更を申請する例がしばしば見られますが、元の配偶者との間に生まれた実子を親権者として養育している場合や元の配偶者との婚姻期間が3年以上で独立して生計を営むことが出来る場合などには変更が認められる可能性があるようです。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)
試用期間の終了時における本採用の拒否
労働者を採用するにあたって3ヶ月から6ヶ月程度の試用期間を設定して使用者がその人の従業員としての適格性を評価することがしばしば行われますが、従業員として不適格であると評価されて本採用を拒否された場合、その人が法的救済を受けることが出来るかが問題となります。
この点につき、最高裁昭和48年12月12日判決は、個々の事案に応じて判断すべきであるとしつつ、当該事案においては、試用期間中も解約権を留保した労働契約が成立しているとした上、本採用の拒否はこの解約権の行使(解雇)にあたるため、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認できる場合にのみ許されるとして本採用の拒否についての法的救済を認めています。
また、東京高裁平成21年9月15日判決は、約3ヶ月半の営業成績をもって従業員としての適格性を有しないと判定することは出来ず、解雇は無効としています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)
2016 夏季休業のお知らせ Schedule the summer holidays
当事務所の夏季休業日を以下のとおりお知らせします。
平成28年8月11日(木) ~ 同年同月15日(月)まで 終日休業
Our office will be closed for summer holidays during the following period:
From August 11th, 2016 to August 15th, 2016
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)
資格外活動と刑事処分・退去強制処分
出入国管理及び難民認定法(入管法)の別表第1に記載された「技術・人文知識・国際業務」「技能」などといった専門性のある就労活動をすることを予定する在留資格を認められた外国人による当該在留資格が予定していない就労活動や「留学」「家族滞在」などといった就労を予定していない在留資格を認められた外国人による就労活動(資格外活動)は、刑事処分や退去強制処分の原因となります。
① 入管法70条1項4号、73条により、上記のような資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる者には3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金、専ら行っていると明らかに認められないが資格外活動を行った者には1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金が科されます(懲役等と罰金が併科されることもあります)。
② 資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合には、退去強制事由にも該当します(入管法24条4号イ)。また、専ら行っているとまでは認められない場合でも禁錮以上の刑に処せられた場合には、退去強制事由に該当します(入管法24条4号ヘ)。
When a foreign national intends to engage in an activity to operate profit-making businesses or an activity for receiving consideration other than the activity permitted under his/her status of residence, he/she must obtain permission to engage in an activity other than that permitted under* the status of residence previously granted, in advance.
Note:
The following passage was quoted from a Immigration Bureau of Japan web site: (https://www.isa.go.jp/en/).
*See the following ‘Permission to Engage in an Activity Other Than That Permitted by the Status of Residence Previously Granted’ Immigration Bureau of Japan web site: (https://www.isa.go.jp/en/applications/guide/nyuukokukanri07_00045.html) for further information.
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)
父(又は母)の死亡と認知
婚姻関係にない相手方との間で産まれた子を自分の子であると認めることを認知と言います。この認知は、遺言によって行うことも出来ます。
また、父(又は母)が任意に認知をしないときに、その子は、認知の訴えを提起することが出来ますが、身分関係に伴う法的安定性が害されることを避けるため、父(又は母)が死亡した日から3年が経過するとこの認知の訴を提起することは出来なくなります。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

撮影場所 – 地下鉄駅内 (ワシントンD.C. コロンビア特別区)



