Archive for the ‘企業法務’ Category
投資の勧誘における適合性原則、説明義務違反による責任
老後資金への不安などから投資を行う人が増加しているようですが、証券会社による取引の勧誘が問題となることがあります。
そこで、証券会社による取引の勧誘に関する裁判例を見ると、適合性原則・説明義務違反が問題となった大阪高裁平成20年6月3日判決が、証券会社の適合性原則違反について「証券会社は、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることとならないように業務を営まなければならず、証券会社の担当者が、顧客の意向と実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著しく逸脱した証券等投資商品の取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、当該行為は不法行為上も違法となる」、説明義務違反について「証券会社は、一般投資家を取引に勧誘することによって利益を得ているところ、一般投資家と証券会社との間には、知識、経験、情報収集能力、分析能力等に格段の差が存することを考慮すれば、証券会社は、信義則上、一般投資家である顧客を証券取引に勧誘するにあたり、投資の適否について的確に判断し、自己責任で取引を行うために必要な情報である当該投資商品の仕組みや危険性等について、当該顧客がそれらを具体的に理解することができる程度の説明を当該顧客の投資経験、知識、理解力等に応じて行う義務を負う」と判示しています。
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ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

賃貸人による自力救済
賃貸借契約が終了したにもかかわらず、元の賃借人が目的物を任意に明け渡さない場合、目的物の所有者としては目的物の明け渡し等を求める訴訟を提起し、判決を得た上で強制執行により権利を実現することが考えられますが、このような法的手続きを経ずに目的物を取り戻す自力救済が行われることがあります。
この自力救済について、最高裁昭和40年12月7日判決は、「原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特段の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」としています。そして、目的物の所有者による自力救済行為に関する裁判例を見ると、不法行為の成立を肯定したもの(札幌地裁平成11年12月24日判決、東京地裁平成4年9月16日判決等)と否定したもの(横浜地裁昭和63年2月4日判決、東京地裁昭和62年3月13日判決等)があります。
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不法行為に基づく損害賠償請求と相殺の禁止
債権を相互に有する者の間では、相殺による処理が考えられます。ところが、不法行為に基づく損害賠償請求権については、被害者に現実の賠償を受けさせるため、「債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない」とされています(民法509条)。
ただ、その被害者の救済という制度の趣旨から、被害者が損害賠償請求権を自動債権として加害者に対し負担している債務と相殺することは可能(最高裁昭和42年11月30日判決)とされ、また、契約により相殺することも可能(大審院大正元年12月16日判決)とされています。
なお、双方の損害賠償請求権が交通事故のような同一事実によって発生した場合については、相殺による処理を認める説が有力ですが、最高裁昭和49年6月28日判決は、「同一交通事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、民法509条の規定により相殺が許されない」と判示しています。
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賃貸借契約の終了後における目的物の占有についての不法行為責任
賃貸借契約が終了したにもかかわらず、元の賃借人が目的物の占有を継続する場合、目的物返還義務の履行遅滞として契約責任を負うことになりますが、この責任とあわせて不法行為責任も問題となります。
この不法行為責任に関する裁判例を見ると、大審院大正7年5月18日判決が契約責任と不法行為責任との競合を認めており、最高裁昭和34年7月30日判決が不法行為により被る損害について、賃料相当額を基準として算定されるとしています。
なお、賃貸人の承諾なしに賃借権が譲渡されたが賃貸借契約が解除されていない場合について、判例は、特段の事情のない限り、賃貸人は、賃借権の無断譲受人に対し、賃料相当損害金の賠償請求ができるとしています(最高裁昭和35年9月20日判決、最高裁昭和41年10月21日判決)。
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控訴による不服申立
裁判(第一審)の判決に不服がある場合にその不服の当否について控訴審による判断を求めることを控訴と言います。
控訴は、判決書の送達後二週間の控訴期間内に控訴状を原裁判所に提出して行います(民訴法286条1項)。控訴には、控訴の利益が必要とされます。
この控訴審では、第一審の裁判資料を前提としてこれに控訴審において収集される資料を加えて不服申立の当否等を判断します。
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責任無能力者が第三者に加えた損害についての監督者の責任
民法714条は、「監督する法定の義務を負う者」「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者」が、責任無能力者による第三者に対する損害について賠償をすることを定めています。
そして、この責任の成立には「責任無能力者がその責任を負わない場合」であることが必要とされますが、最高裁昭和49年3月22日判決が「未成年者が責任能力を有する場合であっても監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立する」としています。
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被用者が第三者に対し加えた損害についての使用者の責任(使用者責任)
民法715条は、「ある事業のために他人を使用する者」が、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害の賠償をすると定めています(使用者責任)。
そして、この責任の成立には①「ある事業のために他人を使用する」という関係(使用関係)の存在が必要とされるところ、裁判例見ると、この使用関係が認められるには実質的に指揮監督の関係があれば足りるとしています(最高裁昭和41年7月21日判決、最高裁昭和56年11月27日判決等)。
また、この責任の成立には②「被用者が事業の執行について」第三者に損害を加えたこと(事業執行性)が必要とされるところ、裁判例を見ると、取引的行為について最高裁昭和40年11月30日判決が「被用者の職務遂行行為そのものには属しないが、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をも包含する」とし、事実的行為について最高裁昭和46年6月22日判決が「事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為によって」損害が発生した場合にこれが認められるとしています。
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他人の訴訟に利害関係を有する者による補助参加
債務者が債権者から訴訟を提起された場合にその債務者の保証人がその訴訟に参加するように第三者が自己の利益を守るために他人の訴訟に参加する制度として補助参加があります。
補助参加人は、被参加人を助けて訴訟を追行することになります。
この制度を利用するには、①他人の間で既に訴訟が係属していることと②訴訟の結果について法律上の利益である補助参加の利益があることが必要であり、一方の当事者の親友や親せきであるといったことによる感情的な利益はこの補助参加の利益とは認められない(東京高裁昭和50年5月16日決定)とされています。
また、補助参加人は、原則として訴訟行為をすることができます(独立性)が、被参加人が行うことのできない行為や被参加人の行為と矛盾・抵触する行為はできない(従属性)とされています。
そして、被参加人が敗訴した場合、一定の事項について、被参加人と補助参加人との間の後訴において被参加人敗訴の確定判決の内容が前提とされます(参加的効力)。
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携帯電話に関する法規制
スマートフォンを含む携帯電話が普段の生活に普及していますが、振り込め詐欺などで利用されるといった問題も生じており、このような問題点に対応するための法律が作られています。
まず、携帯電話不正利用防止法をあげることができます。携帯電話の不正利用を防止することを狙った法で、契約に際しての本人の確認義務(同法3条)などを定めています。
また、青少年インターネット環境整備法をあげることができます。青少年を有害情報から守ることを狙った法で、暴力、ポルノ、薬物などに関する情報を有害情報として事業者に対しフイルタリングサービスを提供するなどの義務を課しています。
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サクラサイトによる被害
芸能人に会うことができるなどとうたってサイトを利用させ金銭をだまし取るいわゆるサクラサイトによる被害が問題となることがあります。
この被害に関する裁判例を見ると、さいたま地裁越谷支部平成23年8月8日判決が、詐欺にあたるサイト運営を行っていたとして運営者の不法行為責任を認めています。また、東京高裁平成25年6月19日判決もサイトの運営者について不法行為責任を認めています。
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