Archive for the ‘個人法務’ Category
相続財産から生ずる果実と遺産分割
相続財産の中に不動産がある場合,遺産分割が行われるまでにその賃料債権という果実が生じることがありますが,遺産分割によってその帰属が影響を受けるのかが問題となります。
この問題に関し,最高裁平成17年9月8日判決は,「遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの間,共同相続人の共有に属するものであるから,この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は,遺産とは別個の財産というべきであって,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は,相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けないものとい うべきである」と判示しています。
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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
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特別受益の持戻しと生命保険金請求権
共同相続人の中に特別受益を得た者がいるときは,その持戻し(民法903条,904条)を行うことになりますが,その特別受益財産として持戻しの対象となるのかが問題となるものとして生命保険金請求権があります。
この生命保険金請求権の持戻しが問題となった最高裁平成16年10月29日判決は,「養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は,民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないと解するのが相当である。もっとも,上記死亡保険金請求権の取得のための費用である保険料は,被相続人が生前保険者に支払ったものであり,保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相 当である。上記特段の事情の有無については,保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率のほか,同居の有無,被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活 実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである」と判示しています。
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割増賃金の支払方法
使用者が労働者に時間外・休日労働をさせた場合,割増賃金を支払うことになっているところ,この割増賃金に代えて一定額の手当を支給すること(手当制)や賃金に含めて定額払いとすること(定額給制)の適法性が問題となることがあります。
この問題に関して,最高裁平成30年7月19日判決は,「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される(最高裁昭和44年(行ツ)第26号同47年4月6日第一小法廷判決・民集26巻3号397頁,最 高裁平成28年(受)第222号同29年7月7日第二小法廷判決・裁判集民事256号31頁参照)。また,割増賃金の算定方法は,同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「労働基準法37条等」という。)に具体的に定められているところ,同条は,労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され,労働者に支払われる基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではなく(前掲最高裁第二小法廷判決参照),使用者は,労働者に対し,雇用契約に基づき,時間外労働等に対する対価として定額の手当を支払うことにより,同条の割増賃金の全部又は一部を支払うことができる。そして,雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているか否かは,雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか,具体的事案に応じ,使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容,労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきである」と判示しています。
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整理解雇の際における解雇を回避するための努力,説明・協議
使用者が経営不振の打開や経営の合理化を進めるために余剰人員の削減を目的とする解雇を整理解雇と言いますが,この整理解雇が認められるためには解雇を回避するための努力や説明・協議などが必要とされています。
この解雇を回避するための努力等が認められるかが問題となった最高裁昭和58年10月27日判決は,「原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては,上告人において,園児の減少に対応し保母二名を人員整理することを決定すると同時に,被上告人ほか一名の保母を指名解雇して右人員整理を実施することを決定し,事前に,被上告人を含む上告人の職員に対し,人員整理がやむをえない事情などを説明して協力を求める努力を一切せず,かつ,希望退職者募集の措置を採ることもなく,解雇日の六日前にな つて突如通告した本件解雇は,労使間の信義則に反し,解雇権の濫用として無効である,とした原審の判断は,是認することができないものではなく,原判決に所論の違法はない」と判示しています。
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催告によらない契約の解除
①民法542条1項は,「1債務の全部の履行が不能であるとき。 2債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思 を明確に表示したとき。3 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場言いにおいて,残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。4契約の性質又は当事者の意思表示により,特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において,債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。5前各号に掲げる場合のほか,債務者がその債務の履行をせず,債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。」は,「債権者は,前条の催告をすることなく,直ちに契約の解除をすることができる」として,催告を要しないで契約を解除できる場合を規定しています。
②同法同条2項は,「1債務の一部の履行が不能であるとき。2債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。」は,「債権者は,前条の催告をすることなく,直ちに契約の一部の解除をすることができる」として,催告を要しないで契約の一部を解除できる場合を規定しています。
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催告による契約の解除
民法541条は,「当事者の一方がその債務を履行しない場合において,相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,相手方は,契約の解除をすることができる」として,催告による契約の解除を規定した上で,但書で,「その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは,この限りでない」として,不履行が軽微な場合の解除を否定しています。
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指定した行為をする期間を定めない懸賞広告
民法529条の3は,「懸賞広告者は,その指定した行為を完了する者がない間は,その指定した行為をする期間を定めないでした広告を撤回することができる」として,期間を定めない懸賞広告を撤回できる期間を規定した上で,その但書で「その広告中に撤回をしない旨を表示したときは,この限りでない」として,撤回できない場合を規定しています。
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指定した行為をする期間を定めた懸賞広告
① 民法529条の2第1項は,「懸賞広告者は,その指定した行為をする期間を定めてした広告を撤回することができない。ただし,その広告において撤回をする権利を留保したときは,この限りでない」として,指定した行為をする期間を定めた懸賞広告の撤回につき規定しています。
② 同法同条第2項は,「前項の広告は,その期間内に指定した行為を完了する者がないときは,その効力を失う」として,期間を定めた懸賞広告の失効について規定しています。
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懸賞広告者の報酬支払義務
民法529条は,「ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を公告した者(以下「懸賞広告者」という。)は,その行為をした者がその広告を知っていたかどうかにかかわらず,その者に対してその報酬を与える義務を負う」として,指定された行為をした者に対して懸賞広告者が報酬支払義務を負うことを規定しています。
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承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期
民法527条は,「申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には,契約は,承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する」として,承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期を規定しています。
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