Archive for the ‘経営’ Category

企業防衛のための新株予約権の利用

2016-04-18

   新株予約権は、株式会社に対してこれを行使することによって当該会社の株式の交付を受けることの出来る権利です。

   そして、会社は、新株予約権を取締役などに対しインセンティブ型の報酬として与えたり、新株予約権を付した社債を資金の調達のために発行したりすることが出来ますが、その他に企業の買収防衛策として新株予約権が発行されることがあり、その扱いが問題となります。

   この点、株主に払込をさせないで新株予約権の割当てをする新株予約権無償割当てが株主平等の原則に反する法令・定款違反で、かつ著しく不公正な方法によるものであるとしてその差止めを求める仮処分命令の申立てが行われた事案に関する最高裁平成19年8月7日判決は、「特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の存立、発展が阻害されるおそれが生ずるなど、会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合には、その防止のために当該株主を差別的に取り扱ったとしても、当該取扱いが衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り、これを直ちに同原則の趣旨に反するものということはできない」と述べた上で、本件新株予約権無償割当ては、株主平等の原則の趣旨に反するものではなく法令等に違反しないとしています。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

非正規雇用とセクシャル・マタニティーハラスメント

2016-04-11

   職場を労働者にとって働きやすいものにするため、企業によるハラスメント対策が必要になります。

   厚生労働省によれば、全国の労働局に寄せられる男女雇用機会均等法関連の相談のうちセクシャルハラスメント(セクハラ)に関するものは毎年1万件前後で平成26年は1万1289件となっており、平成28年4月7日付け新聞は、非正規労働者など弱い立場の人との地位の差がその背景に有るとの識者の見解を紹介しています。

   また、厚生労働省が平成27年に行った調査によれば、正社員の約2割、派遣労働者の約5割がマタニティーハラスメント(マタハラ)の被害にあっています。

   立法を見ると、マタハラの防止策を企業に義務づける男女雇用機会均等法などの改正案が通常国会で成立し、来年の1月に施行されることになっています。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

賃貸借契約におけるいわゆる事故物件

2016-04-04

   賃貸借契約の対象となっているマンション等が事故物件であった場合、このことの契約への影響や賃貸人の告知義務などが問題となります。

   この点、事故が発生した場所が大都市か地方都市か、単身用か家族用か、事故の状況、付近住民の反応、報道などによって異なると考えられますが、大都市部にある賃料の月額が4万8000円の借上社宅で社員に事故があった事案に関する東京地裁平成13年11月29日判決は、2年程度で心理的瑕疵が消失するとして賃料の減額を2年間認めています。

   また、大都市部にある賃料の月額が6万円の単身用のワンルームで賃借人に事故があった事案に関する東京地裁平成19年8月10日判決は、近所付き合いが相当程度希薄である、世間の耳目を集めるような特段の事情が認められないことなどを考慮して賃料の減額を3年間認めつつ、事故後に賃借した人が極短期間で退去したといった特段の事情が無い場合には、更に当該部屋を賃貸するにあたり、賃貸人に賃借希望者に対し事故があったことを告知する義務は無いとし、また、当該部屋の両隣・階下については、感じる嫌悪感の程度にかなりの差があることや大都市部のワンルームであることなどを考慮して、これらの部屋を新たに賃貸するにあたり、事故があったことを告知する義務は無いとしています。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

社外取締役制度の変更

2016-03-07

   平成27年6月20日に「会社法の一部を改正する法律」が成立し、同年27日に公布されたところ、この改正法においては社外取締役制度が変更されています。

   ①範囲の変更
  社外取締役の要件が厳格化され、親会社等の関係者及び兄弟会社の業務執行者や株式会社の業務執行者等の近親者は、社外取締役になることが出来ないことになりました。

   ②対象期間の変更
  過去に株式会社又はその子会社の業務執行取締役等になったことがないという要件の対象期間が10年間になりました。

   ③社外取締役を置いていない場合の理由の開示
  事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社で大会社であるもの)であってその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものについて社外取締役を置いていない場合、定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないことになりました。

   東京証券取引所によれば、平成26年において社外取締役を選任している上場会社(市場第一部)の比率は、12.0%増加して74.3%となり7割を超えています。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

不法行為による損害賠償額への被害者の身体的特徴の影響

2016-02-22

   交通事故などの不法行為による損害の発生・拡大に被害者の身体的特徴が影響している場合、損害賠償額の算定においてこのことをどう評価するかが問題となります。

   この点、最高裁平成8年10月29日判決が、疾患に該当する身体的特徴に関しては、「被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項の規定を類推適用して、被害者の疾患を斟酌することができることは、当裁判所の判例(・・・平成4年6月25日第一小法廷判決・・・)とするところである。

   そしてこのことは、加害行為前に疾患に伴う症状が発現していたかどうか、疾患が難病であるかどうか、疾患に罹患するにつき被害者の責めに帰すべき事由があるかどうか、加害行為により被害者が被った衝撃の強弱、損害拡大の素因を有しながら社会生活を営んでいる者の多寡等の事情によって左右されるものではないというべきである」とし、疾患に該当しない身体的特徴に関しては、「被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできないと解すべきである」としています。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

中小企業・小規模事業者のマイナンバー アクション!のお知らせ

2016-02-17

   平成28年1月からマイナンバー制度がスタートしました。事業者の皆さまもマイナンバーに対応することが必要です。そこでどのような準備が必要かなどをパンフレット等を通じてお知らせします。当事務所の顧問先事業者の皆さまはパンフレットを配布していますのでご活用ください。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

退職した従業員による営業秘密の利用

2016-01-18

   退職した従業員が元の勤務先で得た顧客情報を利用しているとして、元の勤務先から損害賠償や当該利用の差止めを請求されることがあります。そして、このような請求の根拠となるものとして不正競争防止法が存在します。

   同法による上記請求には顧客情報が「営業秘密」と認められることが必要となります。

   そして、「営業秘密」と認められるためには

   ①当該情報が秘密として管理されていること(管理性)

   ②当該情報が有用な情報であること(有用性)

   ③当該情報が公然と知られていないこと(非公知性)
が必要となります。

   過去の裁判例を見ると、「管理性」が認められず、請求が否定されているケースが多いようです。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

マンションの管理規約の変更

2016-01-04

   マンションにおいては、区分所有者による管理のための団体である管理組合が存在します。そして、総会やマンションの用法、管理費・修繕費の積み立てなどマンションにおけるルールを定める管理組合の自治規範が管理規約です。

   生活様式の変化によって管理規約の規定が現状とあわなくなった、規定の内容が曖昧であるといったことなどから従前の管理規約では適切に対応出来ない問題が生じた場合、管理規約の変更が必要となりますが、管理規約の変更には区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による議決を求められ、また、区分所有法の強行法規に抵触する変更は出来ません。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

M&A取引における表明保証

2015-11-16

   M&A取引としての株式譲渡契約等においては、譲渡価格、補償、解除などさまざまな事項がその内容とされます。そして、そのようなもののひとつとして表明保証があります。

   表明保証は、契約の当事者が相手方当事者に対し、対象会社に関する事項や当事者に関する事項等についてそれが真実かつ正確であることを表明し、表明した内容を保証するものです。

   表明保証は、もともと英米法上の概念ですが、我が国においてもこの表明保証に言及する裁判例が見られるようになっています。例えば、東京地裁平成18年1月17日判決は、「被告らが本件表明保証を行った事項に関して違反していることについて善意であることが原告の重大な過失に基づくと認められる場合には、公平の見地に照らし、悪意の場合と同視し、被告らは本件表明保証違反を免れると解する余地がある」と判示しています。

   また、東京地裁平成23年4月19日判決は、「被告が表明保証上の責任を負うか否か、・・・は、結局のところ、原告が本件契約を実行するか否かを的確に判断するために必要となる本件機械売買契約に係る客観的情報が正確に提供されていたか否かという観点から判断すべきことになる」と判示しています。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

不動産の賃料の増減額請求

2015-10-26

   賃貸不動産の賃料に関して、オーナーが増額を要求したり、テナントが減額を要求することがあります。そして、このような要求の根拠となるのが借地借家法が定める賃料増減額請求権です。

   借地借家法11条1項は、地代等が土地に対する公課の増減により、土地の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の地代等に比較して不相当となったときは、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求出来るとしています。また、同法32条1項は、建物の借賃が土地・建物に対する租税その他の負担の増減により、土地・建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求出来るとしています。

   近時、この賃料増減額請求権に関係する最高裁の判断がいくつか出ており(サブリース契約に上記11条1項等の適用があるかが問題となった平成15年10月21日、賃料の不減額特約が問題となった平成16年6月29日など)、注目すべき分野となる可能性があります。


【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
ひらま総合法律事務所  弁護士  平間民郎(Tel:03-5447-2011)

最寄り駅;東京メトロ南北線/都営 三田線 「白金高輪駅」 4番出口から直通で徒歩1分
(ご来所には事前の電話予約が必要です。)アクセス(地図等)



当事務所内で咲く花

« Older Entries Newer Entries »
ページの上へ

   Copyright© 2010-2022 ひらま総合法律事務所: 東京都港区白金で弁護士相談 All Rights Reserved.   プライバシーポリシー