Archive for the ‘経営’ Category
委託を受けた保証人の事前求償権
民法460条は、委託を受けた保証人(受託保証人)の事前求償権を行使することができる場合について、「1 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
2 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
3 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。」と規定しています。
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債権譲渡の対抗要件
① 民法467条1項は,「債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は,譲渡人が債務者に通知をし,又は債務者が承諾をしなければ,債務者その他の第三者に対抗することができない」として,将来債権の譲渡の場合も含んで債権譲渡の対抗要件について規定しています。
② 同条2項は,「前項の通知又は承諾は,確定日付のある証書によってしなければ,債務者以外の第三者に対抗することができない」として,債権譲渡の第三者対抗要件について規定しています。
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譲渡制限の意思表示がされた債権に対する差押え
① 民法466条の4第1項は,「466条第3項の規定は,譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては,適用しない」として,譲渡制限の意思表示によって差押禁止債権を作ることはできないことを規定しています。
② 同条2項は,「譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り,又は重大な過失によって知らなかった場合において,その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは,債務者は,その債務の履行を拒むことができ,かつ,譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる」として,譲渡制限の意思表示につき悪意又は重過失のある譲受人の債権者が債権を差し押さえた場合に,債務者は,その債務の履行を拒むことができ,譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって対抗することができることを規定しています。
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受領遅滞についての民法の改正
受領遅滞について民法は改正を行っています。
① 413条1項は,「その債務の目的が特定物の引渡しであるときは,債務者は,履行の提供をした時からその引渡しをするまで,自己の財産に対するのと同一の注意をもって,その物を保存すれば足りる」として,目的物の保存義務が軽減されることを規定しています。
② 同条2項は,「その費用が増加したときは,その増加額は,債権者の負担とする」として,増加した費用の償還について規定しています。
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労働時間・休憩・休日に関する規制の適用除外
労働基準法は,労働時間,休憩,休日に関して規制を及ぼしているところ(同法32条1項,2項,34条1項,35条1項2項等),①農・水産業に従事する者,②管理監督者,機密事務取扱者,③監視・断続的労働者についてはこの規制が及ばないとされています(同法41条)。
もっとも,これらの労働者についても深夜労働や有給休暇の規制は及ぶとされ,最高裁平成21年12月18日判決は,「労基法における労働時間に関する規定の多くは,その長さに関する規制について定めており,同法37条1項は,使用者が労働時間を延長した場合においては,延長された時間の労働について所定の割増賃金を支払わなければならないことなどを規定している。他方,同条3項は,使用者が原則として午後10時から午前5時までの間において労働させた場合においては,その時間の労働について所定の割増賃金を支払わなければならない旨を規定するが,同項は,労働が1日のうちのどのような時間帯に行われるかに着目して深夜労働に関し一定の規制をする点で,労働時間に関する労基法中の他の規定とはその趣旨目的を異にすると解される。 また,労基法41条は,同法第4章,第6章及び第6章の2で定める労働時間,休憩及び休日に関する規定は,同条各号の一に該当する労働者については適用しないとし,これに該当する労働者として,同条2号は管理監督者等を,同条1号は同法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者を定めている。一方,同法第6章中の規定であって年少者に係る深夜業の規制について定める61条をみると,同条4項は,上記各事業については同条1項ないし3項の深夜 業の規制に関する規定を適用しない旨別途規定している。こうした定めは,同法41条にいう「労働時間,休憩及び休日に関する規定」には,深夜業の規制に関する規定は含まれていないことを前提とするものと解される。 以上によれば,労基法41条2号の規定によって同法37条3項の適用が除外されることはなく,管理監督者に該当する労働者は同項に基づく深夜割増賃金を請求することができる」としています。
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三六協定による時間外・休日労働
使用者は,原則として,1週40時間,1日8時間という法定労働時間を超えて労働者を労働させてはならない(労働基準法32条1項2項)とされていますが,過半数組合または過半数代表者と書面による労使協定を締結し,かつこれを行政官庁に届け出ることにより,労働者に時間外・休日労働をさせることができる(同法36条1項,いわゆる「三六協定」)とされています。
この協定による時間外・休日労働に関する裁判例を見ると,最高裁平成3年11月28日判決が,「労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間を延長して労働させることにつき,使用者が,当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる三六協定)を締結し,これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において,使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該三六協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは,当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り,それが具体的労働契約の内容をなすから,右就業規則の規定の適用を受ける労働者は,その定めるところに従い,労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負う」としています。
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休憩時間の自由利用と企業秩序の維持
休憩時間の利用の仕方については,労働者の自由とされています(労働基準法34条3項,ただし,この例外として労働基準規則33条)。
もっとも,企業秩序との関係は問題となりえます。この休憩時間の利用と企業秩序の関係が問題となった裁判例を見ると,最高裁昭和52年12月13日判決が,「休憩時間の自由利用といってもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず,その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には,使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また,従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり,休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが,右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない。しかも,公社就業規則五条六項の規定は休憩時間中における行為についても適用されるものと解されるが,局所内において演説,集会,貼紙,掲示, ビラ配布等を行うことは,休憩時間中であつても,局所内の施設の管理を妨げるおそれがあり,更に,他の職員の休憩時間の自由利用を妨げ,ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがあつて,その内容いかんによつては企業の運営に支障をきたし企業秩序を乱すおそれがあるのであるから,これを局所管理者の許可にかからせることは,前記のような観点に照らし,合理的な制約ということができる。本件ビラの配布は,その態様において直接施設の管理に支障を及ぼすものでなかつたとしても,前記のように,その目的及びビラの内容において上司の適法な命令に対し抗議をするものであり,また,違法な行為をあおり,そそのかすようなものであつた以上,休憩時間中であつても,企業の運営に支障を及ぼし企業秩序を乱すおそれがあり,許可を得ないでその配布をすることは公社就業規則五条六項に反し許されるべきものではない」としています。
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賠償予定の禁止と留学費用の返還
使用者は,労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定することを禁止されている(労働基準法16条)ところ,退職者に対する留学費用等の返還請求が本条に反しないかが問題とされることがあります。
この問題に関する裁判例を見ると,東京地裁平成10年9月25日判決は,念書その他の合意書を作成させることなく,就業規則に基づき留学費用の返還を請求しているとして同法16条違反としています。
一方,平成14年4月16日判決は,労働契約とは別の返還義務を免除するという特約つきの金銭消費貸借契約であるとして同法16条違反ではないとしています。
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賃金の全額払いの原則と賃金債権の放棄
賃金は,原則としてその全額を支払わなければならない(労働基準法24条1項)とされているところ,この原則との関係で賃金債権の放棄が問題とされることがあります。
この賃金債権の放棄に関する裁判例を見ると,退職金債権の放棄について,最高裁昭和48年1月19日判決が,「本件退職金は,就業規則においてその支給条件が予め明確に規定され,被上告会社が当然にその支払義務を負うものというべきであるから,労働基準法一一条の「労働の対償」としての賃金に該当し,したがつて,その支払については, 同法二四条一項本文の定めるいわゆる全額払の原則が適用されるものと解するのが相当である。しかし,右全額払の原則の趣旨とするところは,使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し,もつて労働者に賃金の全額を確実に受領させ,労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものというべきであるから,本件のように,労働者たる上告人が退職に際しみずから賃金に該当する本件退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に,右全額払の原則が右意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することはできない」としていますが,最高裁平成15年12月1日判決は,自由な意思によることが明確でないとして賃金債権の放棄の効力を否定しています。
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使用者の労働者に対する損害賠償請求
使用者は,労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定する契約をしてはならないと労働基準法16条は規定していますが,この規定は,使用者からの労働者に対する損害賠償請求を禁止するものではないとされています。
使用者からの労働者に対する損害賠償請求が問題になった裁判例を見ると,最高裁昭和51年7月8日判決が,「使用者が,その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により,直接損害を被り又は使用者としての損害賠償責任を負担したことに基づき損害を被つた場合には,使用者は,その事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において,被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができる」としています。
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