Archive for the ‘お知らせ’ Category
公立学校における授業中の事故による損害賠償責任
学校生活に関して児童生徒が被害者となる事故を学校事故と言うことがありますが,授業中に事故が生じた場合の責任が問題となることがあります。
公立中学校での水泳の授業中における事故が問題となった最高裁昭和62年2月6日判決は,「国家賠償法一条一項にいう「公権力の行使」には,公立学校における教師の教育活動も含まれるものと解するのが相当であり」「学校の教師は,学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負つており,危険を伴う技術を指導する場合には,事故の発生 を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務があることはいうまでもない」と判示して,公立学校における教師の教育活動は国家賠償法1条1項の「公権力の行使」にあたるとして安全配慮義務違反による責任を認めています。
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夫婦による遺言と共同遺言の禁止
民法975条は,「遺言は,二人以上の者が同一の証書ですることができない」と規定して共同遺言を禁止しているところ,夫婦が遺言書を作成する場合などにこの共同遺言の禁止との関係が問題となることがあります。
二人の遺言が一通の証書につづりあわされている場合がこの同条が禁止する共同遺言にあたるかが問題となった最高裁平成5年10月19日判決は,「本件遺言書はB五判の罫紙四枚を合綴したもので,各葉ごとにDの印章による契印がされているが,その一枚目から三枚目までは,D名義の遺言書の形式のものであり,四枚目は被上告人B名義の遺言書の形式のものであって,両者は容易に切り離すことができる,というものである。右事実関係の下において,本件遺言は,民法九七五条によって禁止された共同遺言に当たらないとした原審の判断は,正当として是認することができる」と判示して,この場合の共同遺言該当性を否定しています。
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遺留分の侵害と遺留分額への相続債務の加算
遺留分を算定する際の基礎財産は,被相続人が相続開始時に有した財産に所定の贈与財産を加え,そこから相続債務を差し引いたもの(民法1043条1項)とされていますが,相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合において,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否が問題となったことがあります。この問題について,最高裁平成21年3月24日判決は,「相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合,遺言の趣旨等から相続債 務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり,これにより,相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である」「そして,遺留分の侵害額は,確定された遺留分算定の基礎となる財産額に民法1028条所定の遺留分の割合を乗じるなどして算定された遺留分の額から,遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し,同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定すべきものであり」「その算定は,相続人間において,遺留分権利者の手元に最終的に取り戻すべき遺産の数額を算出するものというべきである。したがって,相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ,当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される場合,遺留分の侵害額の算定においては,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されないものと解するのが相当である」と判示して相続債務の加算を否定しています。
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不明瞭な遺言の解釈
その人の最終意思を死後に実現するための制度として遺言が利用されますが,その趣旨が不明瞭な場合,その解釈が必要になります。
この遺言の解釈が問題となった事案について,最高裁平成17年7月22日判決は,「遺言を解釈するに当たっては,遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく,遺言者の真意を探究すべきであり,遺言書が複数の条項から成る場合に,そのうちの特定の条項を解釈するに当たっても,単に遺言書の中から当該条項のみを他から切り離して抽出し,その文言を形式的に解釈するだけでは十分でなく,遺言書の全記載との関連,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して ,遺言者の真意を探究し,当該条項の趣旨を確定すべきである」と判示して,遺言者の真意を探求して遺言の趣旨を確定すべきとしています。
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遺留分の算定と相続分の譲渡
遺留分を算定する際の基礎財産は,被相続人が相続開始時に有した財産に所定の贈与財産を加え,そこから相続債務を差し引いたもの(民法1043条1項)とされていますが,この遺留分の算定において相続分の譲渡が考慮されるかという問題があります。
この問題について,最高裁平成30年10月19日判決は,「共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは,積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し,相続分の譲渡に伴って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される。そして,相続分の譲渡を受けた共同相続人は,従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割手続等に加わり,当該遺産分割手続等において,他の共同相続人に対し,従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分との合計に相当する価額の相続財産の分配を求めることが できることとなる。このように,相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転するものということができる。遺産の分割が相続開始の時に遡ってその効力を生ずる(民法909条本 文)とされていることは,以上のように解することの妨げとなるものではない。したがって,共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,上記譲渡をした者の相続において,民法903条1項に規定する「贈与」に当たる」と判示して,相続分の譲渡が考慮されることを認めています。
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面会交流の履行確保のための強制執行
離婚が問題となって父母の一方が子と別居しているような場合に親子の交流を実現する権利を面会交流権と言い,この面会交流について協議・調停・審判等で取り決めをすることがありますが,この取り決めが履行されない場合に強制執行が認められるのかという問題があります。
この問題について,最高裁平成25年3月28日決定は,「子を監護している親(以下「監護親」という。)と子を監護していない親(以下「非監護親」という。)との間で,非監護親と子との面会交流について定める場合,子の利益が最も優先して考慮されるべきであり(民法766条1項参照),面会交流は,柔軟に対応することができる条項に基づき,監護親と非監護親の協力の下で実施されることが望ましい。一方,給付を命ずる審判は,執行力のある債務名義と同一の効力を有する(平成23年法律第53号による廃止前の家事審 判法15条)。監護親に対し,非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判は,少なくとも,監護親が,引渡場所において非監護親に対して子を引き渡し,非監護親と子との面会交流の間,これを妨害しないなどの給付を内容とするものが一般であり,そのような給付については,性質上,間接強制をすることができないものではない。したがって,監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において,面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は,上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である」と判示しています。
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父母による子の奪い合い紛争と刑事事件
別居中や離婚後の父母が子の奪い合いをして争いになることがありますが,このような場合に刑事事件として犯罪の成立が問題となることがあります。
離婚訴訟の継続中に夫が別居している妻のところから幼児を奪っていったという事案に関し,最高裁平成17年12月6日判決は,「被告人は,Cの共同親権者の1人であるBの実家においてB及びその両親に監護養育されて平穏に生活していたCを,祖母のDに伴われて保育園から帰宅する途中に前記のような態様で有形力を用いて連れ去り,保護されている環境から引き離して自分の事実的支配下に置いたのであるから,その行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかであり,被告人が親権者の1人であることは,その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情であると解される」「本件において,被告人は,離婚係争中の他方親権者であるBの下からCを奪取して自分の手元に置こうとしたものであって,そのような行動に出ることにつき,Cの監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから,その行為は,親権者によるものであるとしても,正当なものということはできない。また,本件の行為態様が粗暴で強引なものであること,Cが自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること,その年齢上 ,常時監護養育が必要とされるのに,略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難いことなどに徴すると,家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない。以上によれば,本件行為につき,違法性が阻却されるべき事情は認められないのであり,未成年者略取罪の成立を認めた原判断は,正当である」と判示して,未成年者略取誘拐罪の成立を認めています。
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遺産分割協議の債務不履行による法定解除
遺産分割においては共同相続人のひとりが相続財産を取得する代わりに親の世話をすることを他の共同相続人と約束することがありますが,この約束が守られなかった場合に債務不履行を理由として遺産分割協議を解除できるのかという問題があります。
この問題に関し,最高裁平成元年2月9日判決は,「共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に,相続人の一人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであつても,他の相続人は民法五四一条によつて右遺産分割協議を解除することができないと解するのが相当である。 けだし,遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し,その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関 係が残るだけと解すべきであり,しかも,このように解さなければ民法九〇九条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ,法的安定性が著しく害されることになるからである」と判示してこの債務不履行による解除を否定しています。
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遺留分侵害額請求権の代位行使の可否
遺留分を侵害された場合,遺留分権利者とその承継人が遺留分侵害額請求権者とされるところ,この権利者や被相続人の債権者が自己の債権を保全するために遺留分侵害額請求権を代位行使することの可否という問題があります。
この問題に関し,法改正前の遺留分減殺請求権について最高裁平成13年11月22日判決が「遺留分制度は,被相続人の財産処分の自由と身分関係を背景とした相続人の諸利益との調整を図るものである。民法は,被相続人の財産処分の自由を尊重して,遺留分を侵害する遺言について,いったんその意思どおりの効果を生じさせるものとした上,これを覆して侵害された遺留分を回復するかどうかを,専ら遺留分権利者の自律的決定にゆだねたものということができる」「そうすると,遺留分減殺請求権は,前記特段の事情がある場合を除き,行使上の一身専属性を有すると解するのが相当であり,民法423条1項ただし書にいう「債務者ノ一身ニ専属スル権利」に当たるというべきであって,遺留分権利者以外の者が,遺留分権利者の減殺請求権行使の意思決定に介入することは許されないと解するのが相当である。民法1031条が,遺留分権利者の承継人にも遺留分減殺請求権を認めていることは,この権利がいわゆる帰属上の一身専属性を有しないことを示すものにすぎず,上記のように解する妨げとはならない。なお,債務者たる相続人が将来遺産を相続するか否かは,相続開始時の遺産の有無や相続の放棄によって左右される極めて不確実な事柄であり,相続人の債権者は,これを共同担保として期待すべきではないから,このように解しても債権者を不当に害するものとはいえない」と判示して代位行使を否定しています。
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遺産共有持分と他の共有物が併存する場合の分割手続き
遺産分割前の遺産(相続財産)は共同相続人の共有(遺産共有)となるところ,遺産共有の状態にある共有持分とその他の共有持分が併存する場合にその分割の手続きが問題となります。
この問題に関し,最高裁平成25年11月29日判決は,「共有物について,遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(以下「遺産共有持分」といい,これを有する者を「遺産共有持分権者」という。)と他の共有持分とが併存する場合,共有者(遺産共有持分権者を含む。)が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきものと解するのが相当である」「民法258条に基づく共有物分割訴訟は,その本質において非訟事件であって,法は,裁判所の適切な裁量権の行使により,共有者間の公平を保ちつつ,当該共有物の性質や共有状態の実情に適合した妥当な分割が実現されることを期したものと考えられることに照らすと,裁判所は,遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ,その者に遺産共有持分の価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする価格賠償の方法による分割の判決をする場合には,その判決において,各遺産共有持分権者において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で,遺産共有持分を取得する者に対し,各遺産共有持分権者にその保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができるものと解するのが相当である。」と判示しています。
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