Archive for the ‘社会福祉’ Category

不動産の借主による迷惑行為

2019-01-15

 不動産の賃貸借、使用貸借における借主の迷惑行為によってトラブルになることがあります。

 借主の迷惑行為が問題となった裁判例を見ると、野鳩の餌付け・飼育による障害に基づく損害の賠償請求等が問題となった事案について、東京地裁平成7年11月21日判決は、「区分所有者の共同の利益に反する行為であり、その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難な場合に当たる」として損害賠償請求を認めています。

 また、騒音等の迷惑行為による契約の解除、競売請求等が問題となった事案について、東京地裁平成17年9月13日判決は、被告が「本件専有部分等を所有し続けることは、必然的に本件マンションの区分所有者の共同の利益に反することになる」「区分所有権及び敷地利用権の競売以外の方法によってはその障害を除去して共用部分の維持を図ることが困難である」として競売請求等を認めています。



【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

 

相続放棄の申述と意思表示の瑕疵

2018-12-10

 相続人は、相続を承認するか放棄するかを選ぶことができますが、この相続の放棄につき錯誤等があった場合にその効力が否定されるかどうかが問題となります。

 この点、最高裁昭和40年5月27日判決は、「相続放棄は家庭裁判所がその申述を受理することによりその効力を生ずるものであるが、その性質は私法上の財産法上の法律行為であるから、これにつき民法95条の規定の適用があることは当然である」と判示してその効力が否定される可能性を認め、また、福岡高裁平成10年8月26日判決は、「相続放棄の申述に動機の錯誤がある場合、当該動機が家庭裁判所において表明されていたり、相続の放棄により事実上および法律上の影響を受ける者に対して表明されているときは、法律行為の要素の錯誤として相続放棄は無効になる」として要素の錯誤があった場合は無効になると判示しています。



【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

 

成年被後見人が他人に損害を与えた場合における成年後見人の責任

2018-12-03

 責任無能力者が第三者に与えた損害について、責任無能力者を監督する義務を負う者が賠償責任を負う(民法714条1項)とされているところ、成年被後見人が第三者に損害を与えた場合に成年後見人がこの責任を負うかどうかが問題となります。

 そこで、この問題に関する裁判例を見ると、鉄道駅構内に立ち入って轢死した認知症高齢者の遺族に対し鉄道会社が損害賠償を請求した事案について、最高裁平成28年3月1日判決は、「保護者や成年後見人であることだけでは直ちに法定の監督義務者に該当するということはできない」とした上で、「法定の監督義務者に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条に基づく損害賠償責任を問うことができるとするのが相当であり、このような者については、法定の監督義務者に準ずべき者として、同条1項が類推適用される」と判示しています。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

祭祀(さいし)承継者の決定

2018-11-26

 祭祀承継者について民法897条は、被相続人が指定することができ、この指定が無い場合には慣習により定まる、慣習も無い場合には家庭裁判所が定めるとしているところ、家庭裁判所はどのようにして祭祀承継者を決めるかが問題となります。

 そこで、この問題に関する裁判例を見ると、東京高裁平成18年4月19日判決が、「承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係、承継候補者と祭具等との間の場所的関係、祭具等の取得の目的や管理等の経緯、承継候補者の祭祀主催の意思や能力、その他一切の事情・・・を総合して判断すべきであるが、祖先の祭祀は今日もはや義務ではなく、死者に対する慕情、愛情、感謝の気持ちといった心情により行われるものであるから、被相続人と緊密な生活関係・親和関係にあって、被相続人に対し上記のような心情を最も強く持ち、他方、被相続人からみれば、同人が生存していたとすれば、おそらく指定したものであろう者をその承継者と定めるのが相当である」と判示しています。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

相続放棄の熟慮期間の起算点

2018-11-19

 民法915条1項は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に」「承認又は放棄をしなければならない」と定めているところ、この3箇月の熟慮期間の起算点が問題となります。

 この点、最高裁昭和59年4月27日判決は、熟慮期間は、原則として、相続開始の原因たる事実およびこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算すべきとした上で、「右各事実を知った場合であっても、右各事実を知った時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、・・・熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識したとき又は通常これを認識しうべき時から起算すべき」と判示しています。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

プライバシーの侵害の成立要件

2018-11-05

 インターネット上の投稿などによるプライバシーの侵害が問題とされるケースが生じているところ、プライバシーの侵害の成立要件が問題となります。

 この点、小説によるプライバシーの侵害が問題となったいわゆる「宴のあと事件」について東京地裁昭和39年9月28判決が、
① 私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること、
② 一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められる事柄であること、
③ 一般の人々にいまだ知られていない事柄であること、
④ このような公開によって当該私人が実際に不快、不安の念を覚えたこと
をプライバシー侵害の成立要件としています。

そして、その後の裁判例では、上記判決で提示された要件で判断しているものが多いようです。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

精神病を原因とする離婚請求と裁量棄却

2018-10-08

 民法770条1項は、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)を離婚原因として規定しているところ、当該離婚原因による離婚請求においては裁量棄却条項(同条2項)の適用がしばしば問題となります。

 そこで、精神病を原因とした離婚請求に関する裁判例を見ると、最高裁昭和33年7月25日判決は、「民法770条は、あらたに「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」を裁判上離婚請求の一事由としたけれども、同条2項は、右の事由があるときでも裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは離婚の請求を棄却することができる旨を規定しているのであって、民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一事をもって直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである」と判示しています。

 また、最高裁昭和45年11月24日判決は、上記判例を踏まえた上、「これらの諸般の事情は、前記判例にいう婚姻関係の廃絶を不相当として離婚の請求を許すべきではないとの離婚障害事由の不存在を意味し、・・・民法770条1項4号に基づく離婚の請求を認容した原判決は正当として是認することができる」と判示しています。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

認知されていない子との間での扶養の権利義務

2018-09-10

 嫡出でない子と父との法律上の父子関係は認知によって発生するところ、認知のない血縁上の父子の間に扶養の権利義務関係は生じないかという問題があります。

 この問題に関する裁判例をみると、東京地裁昭和54年3月28日判決は、「非嫡出子については、父が認知しないかぎり法律上の父子関係が発生しなく、法律上の父子関係がない以上父は単に血縁上の子に対しては扶養義務を負わない」と判示しています。

 一方、認知請求訴訟の係属中でその判決が確定する前に扶養を請求した事案について、福岡家裁昭和40年8月6日審判は、認知請求を正当として扶養義務を肯定し、また、請求者が内縁の夫の子であると推定される事案について、東京家裁昭和50年7月15日審判は、認知請求事件の判決をまたずに扶養義務を肯定しています。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

内縁関係における費用の分担

2018-09-03

 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して婚姻から生じる費用(婚姻費用)を分担する(民法760条)とされているところ、内縁も婚姻に準ずる関係として婚姻におけるのと同様の費用の分担が認められるかどうかが問題となります。

 そこで、この問題に関する裁判例をみると、最高裁昭和33年4月11日判決が「内縁が法律上の婚姻に準ずる関係と認むべきであること前記説明の如くである以上、民法760条の規定は、内縁に準用されるものと解すべき」とした上、「被上告人の支出した医療費は、別居中に生じたものであるけれども、なお、婚姻から生じる費用に準じ、同条の趣旨に従い、上告人においてこれを分担すべきものといわなければならない」と判示しています。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

 

親族の扶養の程度・方法

2018-08-27

 親族の扶養の程度又は方法については、民法879条が当事者間の協議か扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮した上で家庭裁判所の審判で定めるとしています。

 また、扶養方法としては引取扶養と給与扶養があり、給与扶養については金銭給与扶養と現物給与扶養があるとされています。

 なお、扶養義務者が複数存在する場合、引取扶養をする者と給与扶養を行うものを決めることも可能で、大阪家裁昭和40年3月20日審判、仙台家裁昭和56年3月31日審判などは、扶養義務者のうちのある者に対し引取扶養を、他の者に対し金銭給与扶養を命じています。

【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

Photographing place – Liberty Bell Center

« Older Entries Newer Entries »
ページの上へ

   Copyright© 2010-2025 ひらま総合法律事務所: 東京都港区白金で弁護士相談 All Rights Reserved.   プライバシーポリシー