心身喪失者・心身耗弱者の行為
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刑法は、「心身喪失者の行為は、罰しない」(同法39条1項)、「心身耗弱者の行為は、その刑を減軽する」(同法39条2項)と定めています。
この心身喪失・耗弱に関する裁判例を見ると、大審院昭和6年12月3日判決が、心神喪失について、精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力又はその弁識に従って行動する能力のない状態をいうとし、心神耗弱について、精神の障害がまだこのような能力を欠如する程度には達していないが、その能力が著しく減退した状態をいうとし、最高裁昭和58年9月13日決定は、本条にいう心身喪失又は心身耗弱に該当するかどうかは法律判断であって専ら裁判所にゆだねられるべき問題であることはもとより、その前提となる生物学的、心理学的要素についても、右法律判断との関係で究極的には裁判所の評価にゆだねられるべき問題であるとしています。
また、最高裁平成20年4月25日判決は、責任能力判断の前提となる生物学的要素並びにこれが心理学的要素に与えた影響の有無及び程度についてはその診断は臨床精神医学の本分であることから、専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には、鑑定人の公正さや能力に疑いが生じたり鑑定の前提条件に問題があったりするなど、これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り、その意見を十分に尊重して認定すべきであるとしています。
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