交通事故と医療過誤が競合する場合の共同不法行為
複数の者が加害者として交通事故に関与する場合、共同不法行為(民法719条)の成否が問題となるところ、このような類型のひとつとして交通事故と医療過誤が競合する場合があります。
そこで、この問題に関す裁判例を見ると、最高裁平成13年3月13日判決が交通事故により放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの事故後搬入された病院において適切な治療が施されていれば高度の蓋然性をもって被害者を救命することができたと認定された事案について、「本件交通事故と本件医療事故とのいずれもが、・・・死亡という不可分の1個の結果を招来し、この結果について相当因果関係を有する関係にある。したがって、本件交通事故における運転行為と本件医療事故における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たるから、各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯して責任を負うべきものである。本件のようにそれぞれ独立して成立する複数の不法行為が順次競合した共同不法行為においても別異に解する理由はないから、被害者との関係においては、各不法行為者の結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害の額を案分し、各不法行為者において責任を負うべき損害額を限定することは許されないと解するのが相当である。」と判示して共同不法行為の成立を認めた上、結果の発生に対する寄与度による責任の限定を否定しています。
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