出向命令・復帰命令に対する労働者の同意の要否

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2022-02-21

   労働者の人事異動として、元の企業に在籍したまま他の企業で働く出向があるところ、この出向命令や出向からの復帰命令に対する労働者の同意の要否という問題があります。

   この問題に関する裁判例を見ると、復帰命令に関し、最高裁昭和60年4月5日判決は、出向元が当該労働者に命ずる復帰は、指揮監督の変更を伴うが出向元での労務提供という当初の雇用契約の合意内容にかなうところであるから、これについては将来再び出向元に復帰することがない旨の合意が成立していたなどの特段の事由のない限り、当該労働者の同意を得る必要はないとしています。

   また、出向命令に関し、最高裁平成15年4月18日判決は、入社時及び出向発令時の就業規則に社外勤務条項(出向条項)があり、また当該労働者に適用される労働協約にも同様の社外勤務条項(出向条項)があり、さらに労働協約である社外勤務協定において出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられていたという事情の下では、会社は労働者の個別的同意なしに出向を命じることができるとしています。


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