Archive for the ‘保証’ Category

取締役等の役員の任務懈怠による損害賠償責任

2017-01-30

会社において、取締役などの役員がその任務を怠ったときはこれによって生じた損害を賠償する責任を負うとされています(会社法423条)。そして、取締役が違法な行為を積極的に行っていなくても、他の取締役について十分な監視をしなかったという監視義務違反を理由として責任を問われることがあります。

この点に関する裁判例を見ると、大阪地裁平成24年6月29日判決は、土壌環境基準値を大幅に超える六価クロムが検出された土壌埋め戻し材について、その開発、生産の担当でも実行本部の構成員でもない取締役は、担当取締役の職務執行が違法であることを疑わせる特段の事情が存在しない限り、担当取締役の職務執行が適法であると信頼すれば足り、基本的に担当取締役が土壌埋め戻し材の想定される用途に応じた安全性の調査をしたかどうかなどを監視する義務を負うものではないとしています。

これに対し、東京地裁平成24年9月7日判決は、違法な業務執行が行われないよう会社内の業務執行態勢を整備すべき職務上の義務を代表取締役は負っているところ、違法な業務を行う方針が債権管理部長の最終決済により決定されたにとどまり代表取締役はこの件の意思決定に直接関与しなかったことが認められたので、慎重な法令遵守の要求に応えるだけの業務執行態勢が整備されていなかったとして取締役の責任を認めています。

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株式譲渡の自由と従業員持株制度

2016-09-20

 従業員に対する福利厚生や愛社精神の育成などのために自社の株式を有利な条件で従業員に保有させる従業員持株制度を導入している企業がありますが、株式の自由な譲渡を制限し、退職時には株式を一定額で会社に譲渡すると定められているのが通常であるため、このような譲渡制限契約が株式会社において株式の譲渡は原則として自由(会社法127条)とされていることや公序良俗(民法90条)に違反しないかが問題となります。

 この点につき裁判例を見ると、このような契約を有効としているものがほとんどのようです。従業員が制度の趣旨を了解し毎年8から30%の割合による配当を受けていた事案に関して最高裁平成7年4月25日判決は、退職の際には額面額で取得した株式を額面額で取締役会の指定する者に譲渡するとの合意は、商法204条1項(現会社法127条)や公序良俗に反しないとしています。

 また、日刊新聞を発行する非公開会社の事案に関して最高裁平成21年2月17日判決は、株式の保有資格者を原則として現役の従業員等に限定し、個人的理由により株式を売却する必要が生じたときなどには持株会が額面額で買い戻すとの定めは、その内容に合理性がないとは言えないとして会社法127条や公序良俗に反しないとしています。



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期限の利益の喪失と消滅時効の起算点

2016-02-15

 契約等において期限が存在する場合、期限が到来するまで履行を請求されないという期限の利益がありますが、特約としてこの期限の利益の喪失について定められることがあります。そして、この期限の利益の喪失条項に該当する事由が発生した後に債権者が履行を請求することによって債務者が期限の利益を失うというものである場合、債権の消滅時効の起算点はいつになるのかという問題があります。

 この点、大審院昭和15年3月13日判決が「期限の利益を喪失させるかどうかは債権者の自由に属し、債権者は債務者の懈怠にかかわらずなお従前のとおり割賦弁済を求めることができ、債権者が特に前示の意思表示をしないときには債務者は依然として割賦弁済による期限の利益を保有することができ、弁済期の定めなき債権と同視することができない」ことを理由として「消滅時効は債権者の意思表示の時から進行を開始すべきものである」と判示するなど、判例は、該当事由が発生した時ではなく、債権者が請求した時とする見解(請求時説)を採用しています。



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主たる債務者の破産・免責と保証人による消滅時効の援用

2016-01-25

 破産法によれば、主たる債務者に対する免責許可決定は、破産債権者が保証人に対して有する権利に影響しないとされているところ、保証人が保証債務の履行を免れるために破産者に対する債権についての消滅時効を援用出来るかどうかという問題があります。

 この点につき、最高裁平成11年11月9日判決は、免責許可決定の効力の及ぶ債権は、もはや消滅時効の進行を観念することが出来ないとして、保証人は、消滅時効を援用出来ないとしています。

 また、最高裁平成15年3月14日判決は、会社が破産して消滅した場合において、会社の法人格が消滅してその債務が消滅したことにより当該債務について時効による消滅を観念する余地は無いとして、保証人は、消滅時効を援用出来ないとしています。



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消滅時効期間とその起算点

2015-05-18

 企業法務において管理する債権の時効消滅の防止が問題になることがありますが、適切に対処するためには消滅時効期間とその起算点の理解がまず必要になります。

Ⅰ 消滅時効期間
 債権の消滅時効期間については民法・商法が定めていて、原則的な消滅時効期間は、民事債権については10年、商事債権は5年とされています。また、例外的な消滅時効期間が民法168条から民法174条までに定められています。

Ⅱ 消滅時効の起算点
 消滅時効の起算点については民法が「権利を行使することができる時」と定めています。そして、権利の行使に事実上の障害があっても法律上の障害がなければ「権利を行使することができる」というのが原則的な取り扱いですが、「単にその権利の行使につき法律上の障害がないというだけではなく、さらに権利の性質上、その権利行使が現実に期待のできるものであることをも必要と解する」と述べている判例(最高裁昭和45年7月15日大法廷判決)がありますので、法律上の障害がなくても、権利の行使を現実に期待出来ない特段の事情がある場合には、その特段の事情がなくなるまで消滅時効は進行しないということになります。


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企業の倒産

2015-04-13

 「帝国データバンク」が平成27年4月8日に公表した平成26年度における負債額が1000万円以上の企業倒産の件数は、前年度比10.5%減の9044件で8年ぶりに1万件を下回り、倒産企業の負債総額は31.3%減の1兆8870億円で6年連続で前年度を下回りました。また、業種別で見ると建設業が17.6%減の1800件、製造業が16.4%減の1210件、卸売業が12.5%減の1375件となっています。

 日本銀行による金融緩和が継続していることにより企業が資金を調達しやすい環境になっていることと公共工事の増加により建設業の倒産が減ったことなどがこの数字の背景にあると新聞は伝えています。


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債権管理と再度の時効中断

2015-03-30

 企業法務における債権管理として、その管理する債権の時効消滅を防止する必要があります。そして、消滅時効が進行する場合にその完成を阻止して時効消滅を防止する制度として消滅時効の中断が存在し、民法は、
①請求
②差押え・仮差押え・仮処分
③承認
を消滅時効の中断事由としています。

 このような消滅時効を中断させる措置を講じることによって、債権の時効消滅を防止することが出来ますが、以上の中断事由によって消滅時効の中断の効力が生じた場合でも、中断事由が終了したときから消滅時効は再び進行しますので、再度の消滅時効の中断が必要になる場合があります。

 この点、債務者に対して金銭の支払いを求める訴訟を提起して給付判決を得ている債権者が消滅時効の中断のために再度訴訟を提起することが可能であるのか疑問が生じますが、判例は「確定判決アリタルトキト雖他ニ時効中断ノ方法ナキトキハ再訴ノ提起ハ之ヲ許スヘキモノトス」として給付判決を得ている場合でも再度訴訟を提起することは可能としています(大審院昭和6年11月24日)。

 債権の時効管理においては、その消滅時効期間や起算点に加えて、中断事由についても十分な理解が必要となります。


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民法の債権法の改正

2014-09-01

 社会の変化に対応するため法律の改正が行われますが、平成26年8月27日付け読売新聞朝刊が「民法 債権 初の抜本改正へ」という表題で法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会が民法の債権に関する規定の抜本改正案を大筋で了承したと伝えています。

 そして、報道によれば、この改正案は、

①消滅時効について、業種ごとに期間を1~3年というように定めているのを業種を区別しないで期間を「債権者が請求できると知った時から5年」に延長する

②法定利率について、年5%とされているのを年3%に引き下げた上で3年ごとに改訂する変動制を導入する

③保証について、保証人になる人の意思の確認を厳格にする

④賃貸借契約について、敷金の返還や物件の原状回復義務など借主の責任の範囲に関する規定を置く

といったことを内容としています。

 民法の債権に関する条文の抜本的な改正は、明治29年に民法が制定されてから初めてのことになります。この改正は、企業間の取引や個人の売買などに大きな影響を及ぼすと思います。


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経営者保証に関するガイドライン

2014-07-28

 中小企業が金融機関から事業資金を借り入れる場合、代表者が保証人になるよう要求されることがありますが、この経営者の個人保証に関して、平成26年2月1日から「経営者保証に関するガイドライン」の適用が開始されました。

 このガイドラインでは、
①法人と個人が明確に分離されている場合などに経営者の個人保証を求めない、

②多額の個人保証を行っていても早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円から360万円)を残すことや「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討する、

③保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除することなどを定めることにより、経営者保証の弊害を解消し、

経営者による思い切った事業展開や早期事業再生等を実現することを目的としています。

 経営者の保証人になることによる負担を軽減するため、このガイドラインの活用が期待されます。
 上記内容は、中小企業庁ホームページ(外部リンク)「経営者保証に関するガイドライン」が2月1日より適用開始します」から一部を抜粋して記載しています。


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保証人を保護するための民法改正について

2013-05-17

保証契約の類型として根保証契約というものが存在しますが、この契約においては契約締結後に債務者がさらにお金を借りたとしても債権者は保証人と再び保証契約を結ぶ必要はなく、また、保証人に債務が増えたことを報告する義務もありませんので、保証人が知らないうちに、額の大きい借金の保証人になってしまい、主たる債務者の倒産・破産などによって重度の返済の責任を課せられてしまうという問題がありました。

そこで、平成16年12月に一部が改正された民法では上記の根保証契約に関して、

①極度額(限度額)を定めること。

②保証期間に制限を設けること。

③元本確定事由を設けること。

④書面で行うこと(なお、これはすべての保証契約が対象です。)。

という新たなルールが導入されました。

このように、平成16年において保証人を保護するために民法の改正が行われましたが、平成25年6月に公表された民法の改正に関する中間試案では、さらに、貸金等の債務の根保証契約に関するルールを個人の根保証契約にも適用することや個人の保証人を保護するための規定を新たに設けることが検討されています。



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