3月, 2020年
隣地通行権による自動車の通行
他人の土地を通行する権利として通行地役権や囲繞地(いにょうち)通行権 などがあるところ、このような権利によって自動車の通行が認められるかどうかが問題となることがあります。
そこで、このことが問題となった裁判例を見ると、最高裁平成18年3月16日判決が、民法210条の囲繞地通行権に関し、「現代社会においては、自動車による通行を必要とすべき状況が多く見受けられる反面、自動車による通行を認めると、一般に、他の土地から通路としてより多くの土地を割く必要がある上、自動車事故が発生する危険性が生ずることなども否定することができない。
したがって、自動車による通行を前提とする二一〇条通行権の成否及びその具体的内容は、他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、自動車による通行を前提とする二一〇条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである」と判示しています。
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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
自動車の駐車による地役権の妨害
地役権のひとつとして通行地役権がありますが、自動車の駐車がこの通行地役権の妨害・侵害になるかどうかが問題となることがあります。
そこで、このことが問題となった裁判例を見ると、団地内の道路での自動車の駐車による通行妨害について、最高裁平成17年3月2日判決は、「通行地役権は、承役地を通行の目的の範囲内において使用することのできる権利にすぎないから、通行地役権に基づき、通行妨害行為の禁止を超えて、承役地の目的外使用一般の禁止を求めることはできない」「本件係争地に車両を恒常的に駐車させて・・・車両の通行を妨害してはならない旨を求める限度で認容すべきであり」と判示しています。
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賃貸人による自力救済
賃貸借契約が終了したにもかかわらず、元の賃借人が目的物を任意に明け渡さない場合、目的物の所有者としては目的物の明け渡し等を求める訴訟を提起し、判決を得た上で強制執行により権利を実現することが考えられますが、このような法的手続きを経ずに目的物を取り戻す自力救済が行われることがあります。
この自力救済について、最高裁昭和40年12月7日判決は、「原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特段の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」としています。そして、目的物の所有者による自力救済行為に関する裁判例を見ると、不法行為の成立を肯定したもの(札幌地裁平成11年12月24日判決、東京地裁平成4年9月16日判決等)と否定したもの(横浜地裁昭和63年2月4日判決、東京地裁昭和62年3月13日判決等)があります。
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多くの人が利用する施設は、原則屋内禁煙となります(みなとタバコルール)
「たばこから発生した煙や喫煙者の呼気に含まれる煙にさらされる受動喫煙は、肺がんや虚血性心疾患等、様々な病気との関連が指摘されています。望まない受動喫煙を防止するため、平成30年(2018年)7月、改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例が公布され、令和2年(2020年)4月1日に全面施行されます。」
「施設の管理(権原)者には、受動喫煙防止の措置を講ずる義務があります。義務違反時には、罰則(過料)が適用されることがあります。違反した場合、保健所による指導・助言、勧告・公表・命令、立入検査等の他、過料の対象となる場合があります。 」
(改正健康増進法・東京都受動喫煙防止条例と港区「みなとタバコルール」に関するパンフレット「令和2年(2020年)4月1日から、多くの人が利用する施設は、原則屋内禁煙となります。」の記載内容の一部を引用しています。 )
不法行為に基づく損害賠償請求と相殺の禁止
債権を相互に有する者の間では、相殺による処理が考えられます。ところが、不法行為に基づく損害賠償請求権については、被害者に現実の賠償を受けさせるため、「債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない」とされています(民法509条)。
ただ、その被害者の救済という制度の趣旨から、被害者が損害賠償請求権を自動債権として加害者に対し負担している債務と相殺することは可能(最高裁昭和42年11月30日判決)とされ、また、契約により相殺することも可能(大審院大正元年12月16日判決)とされています。
なお、双方の損害賠償請求権が交通事故のような同一事実によって発生した場合については、相殺による処理を認める説が有力ですが、最高裁昭和49年6月28日判決は、「同一交通事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、民法509条の規定により相殺が許されない」と判示しています。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な広がりを受けて,ひらま総合法律事務所では,感染防止のため,時差出勤に努めマスクを着用して業務を行っております。何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます
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賃貸借契約の終了後における目的物の占有についての不法行為責任
賃貸借契約が終了したにもかかわらず、元の賃借人が目的物の占有を継続する場合、目的物返還義務の履行遅滞として契約責任を負うことになりますが、この責任とあわせて不法行為責任も問題となります。
この不法行為責任に関する裁判例を見ると、大審院大正7年5月18日判決が契約責任と不法行為責任との競合を認めており、最高裁昭和34年7月30日判決が不法行為により被る損害について、賃料相当額を基準として算定されるとしています。
なお、賃貸人の承諾なしに賃借権が譲渡されたが賃貸借契約が解除されていない場合について、判例は、特段の事情のない限り、賃貸人は、賃借権の無断譲受人に対し、賃料相当損害金の賠償請求ができるとしています(最高裁昭和35年9月20日判決、最高裁昭和41年10月21日判決)。
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