2月, 2022年

採用の内々定とその取消

2022-02-28

   企業による採用において内定の前の状態として内々定というものが問題となることがあります。

   この内々定の取消に関する裁判例として、福岡地裁平成22年6月22日判決は、内々定通知によって始期付解約権留保付労働契約が成立したとはいえないが、会社が行った内々定の取消通知は、経営環境の急速な悪化により新規学卒者の採用計画を取り止めるなどという極めて簡単なものであり、その後も会社が誠実な態度で対応をしたとはいい難いことからすると、本件内々定取消は、労働契約締結過程における信義則に反し、内々定者の就労への期待利益を侵害する不法行為を構成するとしています。


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出向命令・復帰命令に対する労働者の同意の要否

2022-02-21

   労働者の人事異動として、元の企業に在籍したまま他の企業で働く出向があるところ、この出向命令や出向からの復帰命令に対する労働者の同意の要否という問題があります。

   この問題に関する裁判例を見ると、復帰命令に関し、最高裁昭和60年4月5日判決は、出向元が当該労働者に命ずる復帰は、指揮監督の変更を伴うが出向元での労務提供という当初の雇用契約の合意内容にかなうところであるから、これについては将来再び出向元に復帰することがない旨の合意が成立していたなどの特段の事由のない限り、当該労働者の同意を得る必要はないとしています。

   また、出向命令に関し、最高裁平成15年4月18日判決は、入社時及び出向発令時の就業規則に社外勤務条項(出向条項)があり、また当該労働者に適用される労働協約にも同様の社外勤務条項(出向条項)があり、さらに労働協約である社外勤務協定において出向労働者の利益に配慮した詳細な規定が設けられていたという事情の下では、会社は労働者の個別的同意なしに出向を命じることができるとしています。


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労働問題としての配転命令の有効性

2022-02-14

   労働者の人事異動として職務内容や勤務内容が長期間にわたって変わることを配転と言いますが、この配転命令の有効性が争われることがあります。

   この配転命令の有効性が問題となった裁判例を見ると、転勤命令につき、最高裁昭和61年7月14日判決が、業務上の必要性が存しない場合、不当な動機・目的をもってなされた場合、若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合には、当該転勤命令は権利の濫用となるとした上で、この判断において労働者の生活上の不利益が転勤に伴い通常甘受すべき程度のものである場合には、業務上の必要性は余人をもって替え難いという高度のものであることを要せず、労働者の適切配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤労意欲の高揚、業務運営の円滑化などのためのものでよいとしています。

   また、退職従業員補充のための東京都内に存する事業所間の異動命令につき、最高裁平成12年1月28日判決は、保育の支障は容易に解消することができたという場合には、当該労働者の負うことになる不利益は、必ずしも小さくはないがなお通常甘受すべき程度を著しく超えるとまではいえないとしています。


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試用期間と本採用の拒否

2022-02-07

   企業による労働者の採用において試用期間と本採用の拒否という問題があります。

   この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和48年12月12日判決(三菱樹脂事件)が、一定の合理的な期間解約権を留保する試用期間を定めることも合理性をもち有効であるとした上で、いったん特定企業との間で試用期間を付して雇用関係に入った者は、当該企業との雇用関係の継続の期待の下に他企業への就職の機会と可能性を放棄したものであることを考慮すると、右の留保解約権の行使は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合にのみ許されるとしています。なお、契約の期間の定めか試用期間であるかが問題となった事案について、最高裁平成2年6月5日判決は、労働者の新規採用に当たり、その適性を評価・判断するために雇用契約に期間を設けた場合に、右期間の満了により契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく試用期間であると解するのが相当であるとしています。


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