4月, 2023年

売買における買主が売主に対して権利を行使できる期間

2023-04-24

   改正前の民法は,売買の目的物の瑕疵を理由とする権利の行使について買主が事実を知ってから1年と規定していました(改正前民法570条,566条3項)が,改正民法は,これを以下のように変更しています。

   改正民法566条は,「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において,買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは,買主は,その不適合を理由として,履行の追完の請求,代金の減額の請求,損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」と規定して,種類・品質に関する契約不適合を知った買主に対して1年以内に不適合であることを売主に通知するよう求め,その期間の始まりを「その不適合を知った時」とした上で,その但書において「売主が引渡しの時にその不適合を知り,又は重大な過失によって知らなかったときは,この限りでない」と規定して,売主が引渡し時に悪意又は重過失であったときは本文の効果を否定しています。


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売買における買主の代金減額請求権

2023-04-17

   民法563条は、売買における買主の代金減額請求権について規定しています。

   ① 同条1項は、「買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは」「不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる」として、代金減額請求をするためには、追完の催告をして相当の期間が経過することが原則として必要であることを規定しています。

   ② 同条2項は、1項にかかわらず、「1 履行の追完が不能であるとき。2 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。3 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。4 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。」は催告なしに代金減額請求をすることができるとしています。

   ③  同条3項は、「不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは」「代金の減額の請求をすることができない」と規定しています。


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売買における買主の追完請求権

2023-04-10

   民法562条は、売買における買主の追完請求権について規定しています。

   ① 同条1項は、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは」「目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」として、契約適合性という観点から買主の追完請求権を規定しています。なお、この但書は、「買主に不相当な負担を課すものでないとき」、売主は、「買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる」として、追完方法につき買主が選択できることを前提にして、買主に不相当な負担を課さなければ、売主が別の方法で追完することができることを規定しています。

   ② 同条2項は、契約不適合が「買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは」、買主に追完請求権が認められないことを規定しています。


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履行遅滞中または受領遅滞中の履行不能についての民法の改正

2023-04-03

   民法は改正において履行遅滞中または受領遅滞中の履行不能について規定しています。

   ① 413条の2第1項は,履行遅滞に陥っている間に「当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは,その履行の不能は,債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす」と規定して履行不能による請求を可能にしています。

   ② 同条2項は,受領遅滞に陥っている間に「当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは,その履行の不能は,債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす」と規定して債権者による契約解除や反対債務の履行拒絶が否定されるようにしています。


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