Archive for the ‘保証’ Category

個人貸金等根保証契約における元本確定期日

2023-08-28

   民法465条の3は,1項で「個人根保証契約であってその主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(以下「貸金等債務という。」が含まれるもの(以下「個人貸金等根保証契約」という。)において主たる債務の元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という。)の定めがある場言いにおいて,その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは,その元本確定期日の定めは,その効力を生じない),

   2項で「個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む。)には,その元本確定期日は,その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする」,

   3項で「個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において,変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは,その元本確定期日の変更は,その効力を生じない。ただし,元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において,変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは,この限りでない」,

   4項で「第446条第2項及び第3項の規定は,個人貸金等根保証契約における元本確定期日の定め及びその変更(その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除く。)について準用する」として,元本確定期日に関する改正前465条の3の適用対象が個人貸金等根保証契約に限定されることを規定しています。


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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ  白金タワー  テラス棟4階
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個人根保証契約における保証人の責任

2023-08-14

   民法465条の2は,1項で「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は,主たる債務の元本,主たる債務に関する利息,違約金,損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について,その全部に係る極度額を限度として,その履行をする責任を負う」,2項で「個人根保証契約は,前項に規定する極度額を定めなければ,その効力を生じない」,3項で「第446条第2項及び第3項の規定は,個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する」と規定して,個人貸金等に関する包括根保証の禁止に関する改正前民法465条の2を個人根保証全般に拡張しています。


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保証人の負担と主たる債務の目的・態様、主たる債務者に生じた事由の効力

2023-08-07

   ① 民法448条1項は,「保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは,これを主たる債務の限度に減縮する」,同条2項は,「主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても,保証人の負担は加重されない」として,保証債務の内容に関する付従性について規定しています。

   ② 同法457条1項は,「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は,保証人に対しても,その効力を生ずる」,同条2項は,「保証人は,主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる」,同条3項は,「主たる債務者が債権者に対して相殺権,取消権又は解除権を有するときは,これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において,保証人は,債権者に対して債務の履行を拒むことができる」として,主たる債務者に生じた事由の効力について規定しています。


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保証人に対する債権者の情報提供義務

2023-07-24

   ① 民法458条の2は、委託を受けた保証人から請求があったときに、債権者は、この保証人に対し、「遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない」として、債権者の情報提供義務を規定しています。

   ② 同法458条の3は、個人保証について(同条3項)、主たる債務者が「期限の利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない」として、債権者の情報提供義務を規定し(同条1項)、同条2項は、「前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない」として、2箇月以内に通知をしなかった場合の効果を規定しています。


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債権譲渡の対抗要件

2023-06-26

   ① 民法467条1項は,「債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は,譲渡人が債務者に通知をし,又は債務者が承諾をしなければ,債務者その他の第三者に対抗することができない」として,将来債権の譲渡の場合も含んで債権譲渡の対抗要件について規定しています。

   ② 同条2項は,「前項の通知又は承諾は,確定日付のある証書によってしなければ,債務者以外の第三者に対抗することができない」として,債権譲渡の第三者対抗要件について規定しています。


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譲渡制限の意思表示がされた債権に対する差押え

2023-06-19

   ① 民法466条の4第1項は,「466条第3項の規定は,譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては,適用しない」として,譲渡制限の意思表示によって差押禁止債権を作ることはできないことを規定しています。

   ② 同条2項は,「譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り,又は重大な過失によって知らなかった場合において,その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは,債務者は,その債務の履行を拒むことができ,かつ,譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる」として,譲渡制限の意思表示につき悪意又は重過失のある譲受人の債権者が債権を差し押さえた場合に,債務者は,その債務の履行を拒むことができ,譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって対抗することができることを規定しています。


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履行不能についての民法の改正

2023-03-20

   履行不能について民法は改正を行っています。

   ① 412条の2第1項は,「債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは,債権者は,その債務の履行を請求することができない」として,履行不能かどうかが「契約その他の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」判断されることを規定しています。

   ② 同条第2項は,「契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは」「その履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」として,原始的不能の場合の損害賠償について規定しています。


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債権者代位権についての民法の改正

2023-01-16

   債務者に対する債権を債権者が実現する手段として第三者に対し行使する権限として債権者代位権がありますが,改正民法は,これについて以下のような改正を行っています。

   ① 被保全債権の期限到来前は,保存行為を除き代位権を行使できないことにし,裁判上の代位を廃止(423条2項)しました。また,強制執行により実現することができないもの(同条1項),差押えを禁止された権利(同条1項但書)につき,被代位権利として行使できないとしました。

   ② 「被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは,相手方に対し,その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる」(423条の3)とする一方で,「被代位権利の目的が可分であるときは,自己の債権の額の限度においてのみ,被代位権利を行使することができる(423条の2),債務者は,債権者が代位権を行使した場合でも「被代位権利について,自ら取立てその他の処分をすること」ができ,「相手方も,被代位権利について,債務者に対して履行をすることを妨げられない」(423条の5)として,債権回収機能を限定的に認めました。

   ③ 債権者が「被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは,遅滞なく,債務者に対し,訴訟告知をしなければならない(423条の6)としました。

   ④ 「登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は,その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときは,その権利を行使しないときは,その権利を行使することができる。この場合においては,前3条の規定を準用する」(423条の7)として登記・登録請求権を保全するための債権者代位権の規定を設けました。


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時効の中断事由としての差押え、仮差押え、仮処分

2020-08-03

 時効の中断事由として、差押え、仮差押え、仮処分が規定されている(民法154条等)ところ、差押え等によって時効中断の効力が生じるのはいつか、また、時効中断の効力はいつまで続くのかという問題があります。

 まず、差押え等によって時効中断の効力が生じるのはいつかという問題に関する裁判例を見ると、動産執行に関し、最高裁昭和59年4月24日判決は、債権者が執行官に対し執行の申立をした時としていますが、金銭執行に関し、最高裁昭和43年3月29日判決は、債務名義に表示の住所に執行債務者が所在しないために執行が不能に終わった場合には、同金銭債権について時効中断の効力は生じないとしています。

 次に、時効中断の効力はいつまで続くのかという問題に関する裁判例を見ると、仮差押えに関し、最高裁平成10年11月24日判決は、仮差押えの執行保全の効力が存続する間は継続し、被保全債権につき本案の勝訴判決が確定しても仮差押えによる時効中断の効力が消滅するものではないとしています。また、最高裁平成6年6月21日判決は、仮差押解放金の供託により仮差押執行が取り消されても時効中断の効力は継続するとしています。

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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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賃貸人による自力救済

2020-03-16

 賃貸借契約が終了したにもかかわらず、元の賃借人が目的物を任意に明け渡さない場合、目的物の所有者としては目的物の明け渡し等を求める訴訟を提起し、判決を得た上で強制執行により権利を実現することが考えられますが、このような法的手続きを経ずに目的物を取り戻す自力救済が行われることがあります。

 この自力救済について、最高裁昭和40年12月7日判決は、「原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特段の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」としています。そして、目的物の所有者による自力救済行為に関する裁判例を見ると、不法行為の成立を肯定したもの(札幌地裁平成11年12月24日判決、東京地裁平成4年9月16日判決等)と否定したもの(横浜地裁昭和63年2月4日判決、東京地裁昭和62年3月13日判決等)があります。



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