Archive for the ‘消費者’ Category
賃貸人による自力救済
賃貸借契約が終了したにもかかわらず、元の賃借人が目的物を任意に明け渡さない場合、目的物の所有者としては目的物の明け渡し等を求める訴訟を提起し、判決を得た上で強制執行により権利を実現することが考えられますが、このような法的手続きを経ずに目的物を取り戻す自力救済が行われることがあります。
この自力救済について、最高裁昭和40年12月7日判決は、「原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特段の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」としています。そして、目的物の所有者による自力救済行為に関する裁判例を見ると、不法行為の成立を肯定したもの(札幌地裁平成11年12月24日判決、東京地裁平成4年9月16日判決等)と否定したもの(横浜地裁昭和63年2月4日判決、東京地裁昭和62年3月13日判決等)があります。
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賃貸借契約の終了後における目的物の占有についての不法行為責任
賃貸借契約が終了したにもかかわらず、元の賃借人が目的物の占有を継続する場合、目的物返還義務の履行遅滞として契約責任を負うことになりますが、この責任とあわせて不法行為責任も問題となります。
この不法行為責任に関する裁判例を見ると、大審院大正7年5月18日判決が契約責任と不法行為責任との競合を認めており、最高裁昭和34年7月30日判決が不法行為により被る損害について、賃料相当額を基準として算定されるとしています。
なお、賃貸人の承諾なしに賃借権が譲渡されたが賃貸借契約が解除されていない場合について、判例は、特段の事情のない限り、賃貸人は、賃借権の無断譲受人に対し、賃料相当損害金の賠償請求ができるとしています(最高裁昭和35年9月20日判決、最高裁昭和41年10月21日判決)。
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責任無能力者が第三者に加えた損害についての監督者の責任
民法714条は、「監督する法定の義務を負う者」「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者」が、責任無能力者による第三者に対する損害について賠償をすることを定めています。
そして、この責任の成立には「責任無能力者がその責任を負わない場合」であることが必要とされますが、最高裁昭和49年3月22日判決が「未成年者が責任能力を有する場合であっても監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立する」としています。
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被用者が第三者に対し加えた損害についての使用者の責任(使用者責任)
民法715条は、「ある事業のために他人を使用する者」が、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害の賠償をすると定めています(使用者責任)。
そして、この責任の成立には①「ある事業のために他人を使用する」という関係(使用関係)の存在が必要とされるところ、裁判例見ると、この使用関係が認められるには実質的に指揮監督の関係があれば足りるとしています(最高裁昭和41年7月21日判決、最高裁昭和56年11月27日判決等)。
また、この責任の成立には②「被用者が事業の執行について」第三者に損害を加えたこと(事業執行性)が必要とされるところ、裁判例を見ると、取引的行為について最高裁昭和40年11月30日判決が「被用者の職務遂行行為そのものには属しないが、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をも包含する」とし、事実的行為について最高裁昭和46年6月22日判決が「事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為によって」損害が発生した場合にこれが認められるとしています。
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第三者に対する訴訟告知
債権者から訴訟を提起された保証人が主たる債務者に対しそのことを通知するといったように当事者が当該訴訟に参加できる第三者に対し訴訟が係属したことを通知する訴訟告知という制度があります。
告知については当事者にくわえて補助参加人や告知を受けた者も告知できるとされています。また、告知を受けるのは、当該訴訟に参加することができる第三者とされています。
告知をされても参加を強制されるわけではありませんが、参加人となる利害関係のある被告知者は、参加しなかった場合や遅れて参加した場合でも告知に対応して参加できた時点に参加したものとして参加的効力を受けるとされています。
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携帯電話に関する法規制
スマートフォンを含む携帯電話が普段の生活に普及していますが、振り込め詐欺などで利用されるといった問題も生じており、このような問題点に対応するための法律が作られています。
まず、携帯電話不正利用防止法をあげることができます。携帯電話の不正利用を防止することを狙った法で、契約に際しての本人の確認義務(同法3条)などを定めています。
また、青少年インターネット環境整備法をあげることができます。青少年を有害情報から守ることを狙った法で、暴力、ポルノ、薬物などに関する情報を有害情報として事業者に対しフイルタリングサービスを提供するなどの義務を課しています。
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サクラサイトによる被害
芸能人に会うことができるなどとうたってサイトを利用させ金銭をだまし取るいわゆるサクラサイトによる被害が問題となることがあります。
この被害に関する裁判例を見ると、さいたま地裁越谷支部平成23年8月8日判決が、詐欺にあたるサイト運営を行っていたとして運営者の不法行為責任を認めています。また、東京高裁平成25年6月19日判決もサイトの運営者について不法行為責任を認めています。
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製造物の欠陥の判断基準
製品事故による被害についての責任である製造物責任を定める製造物責任法は、「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」を「欠陥」として(同法2条1項)その責任要件としています。そして、その判断要素を定めている(同法2条2項)ところ、この「欠陥」の有無の判断にあたり技術的可能性や予見可能性などをどのように評価するかという問題があります。
そこで、この問題に関する裁判例を見ると、京都地裁平成30年2月20日判決が「欠陥の有無に関し、「引渡し当時の技術水準」を考慮するに当たっては、欠陥の予見可能性を一応前提として、その欠陥なくして同等の効用を実現する代替設計の技術的可能性を考慮するのが相当である」としています。
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出会い系サイトに関するトラブル
インターネットに関するトラブルの中にいわゆる出会い系サイトについてのトラブルがありますが、この出会い系サイトを規制するものとしてインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法)があります。
この法律の内容をみると、
① 事業者に対する規制として、児童利用禁止の明示(同法10条)、児童でないことの確認(同法11条)、都道府県公安委員会の是正命令(同法13条、14条)、
② 利用者に対する規制として、性交等の相手方となるように誘引する行為の禁止(同法6条)
などが定められています。
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製造物責任の責任主体である「製造業者等」
製品事故による被害についての損害賠償責任を製造物責任といいます。そして、製造物責任法は、「製造業者等」をこの責任の主体(同法3条)とし、同法2条3項は、この「製造業者等」について規定しています。
そこで、この責任主体にあたるかどうかが問題となった裁判例を見ると、洗顔石鹸によるアレルギー症状が問題になった事案について、東京地裁平成30年6月22日判決が洗顔石鹸の販売業者をこの責任主体にあたるとしています。
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