Archive for the ‘雇用・労働’ Category
勤務先を解雇された場合の厚生年金
厚生年金に加入している者が解雇された場合、解雇日の翌日付で厚生年金の被保険者の資格を喪失します(厚生年金保険法14条)。そして、新たな就職先がなければ、国民年金への種別変更の手続きをすることになります(国民年金法12条1項等)。
なお、厚生年金を適用している勤務先に就職した場合は、厚生年金に加入することになります(国民年金法7条1項、厚生年金法27条)。
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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
勤務先が倒産した場合の傷病手当金の受給
被保険者資格を喪失した後も、
①資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者で、
②資格を喪失した際、傷病手当金を受給している者は、傷病手当金を支給開始日から起算して1年6か月を限度として受給することができます(健康保険法104条、99条2項)。
なお、在職中は勤務先を経由していましたが、退職後は保険者に直接申請することになります。
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希望退職に応募して退職した場合の労災給付
労災保険の給付を受ける権利は退職によって変更されず(労働者災害補償保険法12条の5第1項)、このことは希望退職に応募して退職した場合にも妥当します。そして、退職後に休業補償給付を受給する場合は、所轄の労働基準監督署長に請求書を提出します(労働者災害補償保険法施行規則13条1項)。
なお、業務上負傷し又は疾病にかかった労働者が療養を開始してから1年6か月を経過しても、①当該負傷等が治癒せず②当該負傷等による障害の程度が傷病等級に該当するときは、傷病補償年金を支給されます(労働者災害補償保険法18条等)。
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不動産の使用借権の喪失に基づく損害の評価
そこで、この問題に関する裁判例を見ると、土地上の建物が焼失したことによって土地の使用借権を喪失した事案に関し、最高裁平成6年10月11日判決が、「特別の事情のない限り、右土地使用に係る経済的利益の喪失による損害が発生するものというべきであり、また、右経済的利益が通常は建物の本体のみの価格(建物の再構築価格から経年による減価分を控除した価格)に含まれるということはできない」「少なくとも、焼失時の本件建物の本体の価格と本件土地使用に係る経済的利益に相当する額との合計額を本件建物の焼失による損害として被上告人に請求することができる」と判示しています。
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雇用契約における使用者の安全配慮義務
雇用関係において使用者と被用者の間にはさまざまな権利義務が生じるところ、使用者の義務として安全配慮義務が存在します。
そこで、この使用者の安全配慮義務違反に基づく損害賠償が問題になった裁判例を見ると、受動喫煙に関し、東京地裁平成7月2日判決が、受動喫煙の危険性から職員の健康等を保護すべき安全配慮義務を認めた上で、「原告の被った精神的肉体的苦痛の内容、程度、期間等本件に顕れた諸般の事情にかんがみれば、原告に対する慰謝料の金額としては5万円をもって相当」と判示しています。
また、労働者の自殺に関し、最高裁平成12年3月24日判決が、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」「使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである」として、使用者の責任を肯定しています。
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不法行為に基づく損害賠償請求と相殺の禁止
債権を相互に有する者の間では、相殺による処理が考えられます。ところが、不法行為に基づく損害賠償請求権については、被害者に現実の賠償を受けさせるため、「債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない」とされています(民法509条)。
ただ、その被害者の救済という制度の趣旨から、被害者が損害賠償請求権を自動債権として加害者に対し負担している債務と相殺することは可能(最高裁昭和42年11月30日判決)とされ、また、契約により相殺することも可能(大審院大正元年12月16日判決)とされています。
なお、双方の損害賠償請求権が交通事故のような同一事実によって発生した場合については、相殺による処理を認める説が有力ですが、最高裁昭和49年6月28日判決は、「同一交通事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、民法509条の規定により相殺が許されない」と判示しています。
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責任無能力者が第三者に加えた損害についての監督者の責任
民法714条は、「監督する法定の義務を負う者」「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者」が、責任無能力者による第三者に対する損害について賠償をすることを定めています。
そして、この責任の成立には「責任無能力者がその責任を負わない場合」であることが必要とされますが、最高裁昭和49年3月22日判決が「未成年者が責任能力を有する場合であっても監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立する」としています。
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被用者が第三者に対し加えた損害についての使用者の責任(使用者責任)
民法715条は、「ある事業のために他人を使用する者」が、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害の賠償をすると定めています(使用者責任)。
そして、この責任の成立には①「ある事業のために他人を使用する」という関係(使用関係)の存在が必要とされるところ、裁判例見ると、この使用関係が認められるには実質的に指揮監督の関係があれば足りるとしています(最高裁昭和41年7月21日判決、最高裁昭和56年11月27日判決等)。
また、この責任の成立には②「被用者が事業の執行について」第三者に損害を加えたこと(事業執行性)が必要とされるところ、裁判例を見ると、取引的行為について最高裁昭和40年11月30日判決が「被用者の職務遂行行為そのものには属しないが、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をも包含する」とし、事実的行為について最高裁昭和46年6月22日判決が「事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為によって」損害が発生した場合にこれが認められるとしています。
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危険運転致傷罪の行為態様
2013年の法改正により、刑法208条の2の危険運転致致死傷罪や同法211条2項の自動車運転過失致死傷罪などが「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷行為処罰法)に移り、また、準危険運転致死傷罪が新設(同法3条)されました。
危険運転致死傷罪の行為態様は、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で運転し人を死傷させた場合の
①酩酊運転致死傷(同法2条1号)、進行を制御することが困難な高速度で運転し人を死傷させた場合の
②高速度運転致死傷(同法2条2号)、進行を制御する技能を有しないで運転し人を死傷させた場合の
③未熟運転致死傷(同法2条3号)、人または車の通行を妨害する目的で著しく接近しかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の
④妨害運転致死傷(同法2条4項)、赤色信号等をことさらに無視しかつ重大な危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の
⑤信号無視運転致死傷(同法2条5号)、通行禁止道路を進行したりしかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の
⑥通行禁止道路運転致死傷(同法2条6号)です。そして、これらにおいて死傷の結果についての故意は不要とされています。
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連鎖販売取引に対する特定商取引法による規制
物品の販売・役務の提供を業とするものが相手方(加入者)に対し、再販売・受託販売・あっせんをする者を増やすことにより利益を得ることができるとして誘引する連鎖販売取引について、特定商取引法は以下のような規制をしています。
- 広告への特定負担の内容等の記載(同法35条)の要求、誇大広告の禁止(同法35条)
- 契約の締結前における「概要書面」、契約を締結したときの「契約書面」の交付の義務付け(同法37条)
- 法定の契約書面の交付日から20日間のクーリングオフ(同法40条)
- 不実の告知・故意の事実の不告知・威迫困惑行為、断定的判断の提供の禁止(同法34条、38条)
- 中途解約権と損害賠償額の上限(同法40条の2)
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