Archive for the ‘個人法務’ Category
サクラサイトによる被害
芸能人に会うことができるなどとうたってサイトを利用させ金銭をだまし取るいわゆるサクラサイトによる被害が問題となることがあります。
この被害に関する裁判例を見ると、さいたま地裁越谷支部平成23年8月8日判決が、詐欺にあたるサイト運営を行っていたとして運営者の不法行為責任を認めています。また、東京高裁平成25年6月19日判決もサイトの運営者について不法行為責任を認めています。
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ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
製造物の欠陥の判断基準
製品事故による被害についての責任である製造物責任を定める製造物責任法は、「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」を「欠陥」として(同法2条1項)その責任要件としています。そして、その判断要素を定めている(同法2条2項)ところ、この「欠陥」の有無の判断にあたり技術的可能性や予見可能性などをどのように評価するかという問題があります。
そこで、この問題に関する裁判例を見ると、京都地裁平成30年2月20日判決が「欠陥の有無に関し、「引渡し当時の技術水準」を考慮するに当たっては、欠陥の予見可能性を一応前提として、その欠陥なくして同等の効用を実現する代替設計の技術的可能性を考慮するのが相当である」としています。
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出会い系サイトに関するトラブル
インターネットに関するトラブルの中にいわゆる出会い系サイトについてのトラブルがありますが、この出会い系サイトを規制するものとしてインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法)があります。
この法律の内容をみると、
① 事業者に対する規制として、児童利用禁止の明示(同法10条)、児童でないことの確認(同法11条)、都道府県公安委員会の是正命令(同法13条、14条)、
② 利用者に対する規制として、性交等の相手方となるように誘引する行為の禁止(同法6条)
などが定められています。
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製造物責任の責任主体である「製造業者等」
製品事故による被害についての損害賠償責任を製造物責任といいます。そして、製造物責任法は、「製造業者等」をこの責任の主体(同法3条)とし、同法2条3項は、この「製造業者等」について規定しています。
そこで、この責任主体にあたるかどうかが問題となった裁判例を見ると、洗顔石鹸によるアレルギー症状が問題になった事案について、東京地裁平成30年6月22日判決が洗顔石鹸の販売業者をこの責任主体にあたるとしています。
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訪問購入に対する特定商取引法による規制
消費者被害が多くみられる取引形態を規制する法として特定商取引法が存在しますが、2012年に訪問購入がこの法による規制の対象に追加されています。
そして、同法は、この訪問購入について以下のような規制をしています。
① 不招請勧誘の禁止(同法58条の6第1項)
② 訪問目的の明示、勧誘についての同意を得ることの義務付け、再勧誘の禁止(同法58条の5、同6)
③ 申込書面と契約書面の交付の義務付け(同法58条の7、同58条の8)
④ 8日間のクーリングオフ(同法58条の14等)
⑤ 不実の告知、故意による事実の不告知、威迫困惑行為の禁止(同法58条の10)
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投資信託の購入による被害
投資信託は、投資者から集めた資金を運用の専門家が株式や債券などに投資して運用する金融商品です。
投資信託は、さまざまな資産に対して投資できる、運用が専門家によって行われるといったメリットがあるものですが、内容の理解が難しいものがある、元本が保証されていないといったことなどからその購入により損失を被ったとしてトラブルが生じることがあります。
そこで、投資信託の購入による損失が問題となった裁判例を見ると、大阪地裁平成18年4月26日判決が、証券取引経験のない高齢の主婦に乗り換え売買等を行わせた事案について説明義務違反や無意味な売買などにあたるとして賠償責任を認めています。また、東京地裁平成23年2月28日判決が、高齢者に対しリスクの大きいノックイン型投資信託の購入を勧誘した事案について説明義務違反にあたるとして賠償責任を認めています。
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FX取引に関するトラブル
FX取引(外国為替証拠金取引)は、証拠金を業者に預託し、レバレッジをかけて為替変動による差金決済で外国の通貨を売買する取引です。
レバレッジにより資金の何倍もの金額で売買ができることから大きな収益を得る可能性がある一方で、大きな損失を招く可能性がありトラブルが生じることがあります。
そこで、FX取引が問題となった裁判例を見ると、東京地裁平成20年7月16日判決が、ロスカットルールが発動しなかったことにより損失が拡大した事案につき業者の責任を認めています。また、東京地裁平成20年10月16日判決が、顧客誘引の委託先が虚偽の情報を提供した事案につき業者の責任を認めています。
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インターネット上の名誉毀損と真実性の証明・故意
人の名誉を毀損した場合、名誉毀損罪(刑法230条1項)の成立が考えられますが、公益を図る目的で公共の利害に関する事実を適示した場合には適示した事実が真実であるとの証明があればこれを処罰しないとされています(同法230条の2)。そして、近時、インターネットを介した名誉毀損が問題となるケースが増加しているところ、インターネット上の表現であることがこの真実性の証明や故意の成否に影響するかどうかという問題があります。
この問題に関する裁判例を見ると、最高裁平成22年3月15日決定が、このような場合でも真実性は合理的な疑いを入れない程度に証明されることが必要で、また、確実な資料・根拠がなければ故意は否定されないとしています。
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強姦罪等の個人の性的自由に対する罪に関する法改正
2017年の法改正により、監護者わいせつ及び監護者性交等罪(刑法179条)が新設されるとともに集団強姦罪及び準集団強姦罪とその致死傷罪が廃止され、また、強姦罪が行為態様を「性交」等とし被害者を女子に限定しない強制性交等罪に改められ、その刑の下限が3年から5年に引き上げられました(同法177条)。さらに、その処罰を被害者の意思に委ねることにする親告罪の規定(同法180条)が削除されました。
監護者わいせつ及び監護者性交等罪は、父母等の18歳未満の者を現に監護する者が18歳未満の者に対しわいせつな行為や性交等をしたことを対象としています。
また、強制性交等罪は、行為態様を「性交」等とし、被害者を女子に限定していません。なお、婚姻ないし内縁関係にある男女の間でも本罪が成立するかという問題がありますが、裁判例を見ると広島高裁松江支部昭和62年6月18日判決が、「婚姻中夫婦が互いに性交渉を求めかつこれに応ずべき関係にある」としながら、別居中の夫が第三者とともに妻を輪姦したという事案につき強姦罪の成立を認め、また、東京高裁平成19年9月26日判決が、関係が破綻していた夫婦に関する事案につき夫にも強姦罪が成立しうるとしています。
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差押債権者による取立て
差押命令が債務者に送達されて1週間が経過すると、差押債権者は、第三債務者から直接取立てをすることができます(民事執行法155条1項)。そして、この取立権によって、差押債権者は、自己の名において、差押債権に関し債務者の権利を行使できるとされており、最高裁平成11年9月9日判決は、生命保険に関し債務者の有する解約権を行使することができるとしています。
差押債権者が取立権を行使して第三債務者から支払いを受けたときはその限度で弁済を受けたものとみなされます(同法155条2項)。差押債権者は、取立権の行使により第三債務者から支払いを受けたときは直ちにその旨を執行裁判所に届け出なければならないとされています(同法155条3項)。
また、差押債権者が取立権に基づいて取立てをしたが第三債務者が支払わない場合や差押等が競合したのに供託しない場合、差押債権者は、取立訴訟を提起することができます(同法157条)。そして、差押債権者は、取立訴訟の判決に基づいて第三債務者の財産に対して強制執行をすることができます。
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