Archive for the ‘お知らせ’ Category

共有物分割請求訴訟と遺産分割審判の関係

2019-09-24

共同相続人が遺産を分割する場合、遺産分割の手続(民法907条)によることになりますが、第三者が共同相続人か共有持分権を譲り受けた場合にどのような手続きによって共同所有関係を解消するかという問題があります。

 そこで、この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和50年11月7日判決が、「第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続きは、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟である」としつつ「右分割判決によって共同相続人に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象となる」と判示しています。



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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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協議・合意手続

2019-09-24

 2016年における法改正により一定の財政経済犯罪と薬物銃器犯罪を対象(刑訴法350条の2第2項)として協議・合意手続が導入されました。

1 合意手続 合意の内容となる被疑者・被告人の行為は、他人の刑事事件について、取調べ・証人尋問の際に真実の供述をすること、証拠の提出その他必要な協力をすること、検察官の処分は、被疑者・被告人の事件ついて公訴を提起しないこと・取り消すこと、特定の訴因・罰条により公訴を提起・維持すること、特定の訴因・罰条の追加・撤回・変更を請求すること、論告で特定の刑を科すべき旨の意見を陳述することとされています。

2 協議手続 検察官は、協議において、被疑者・被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる(聴取手続)とされています。

3 合意が成立した場合には合意内容書面が作成されます。そして、合意をした被疑者の事件について公訴を提起したとき、検察官は、公判において遅滞なく合意内容書面の取調べを請求しなければならない、また、合意に基づく被疑者・被告人の供述が証拠として用いられる他人の刑事事件の公判においても、合意内容書面の取り調べを請求しなければならないとされています。

 なお、合意の当事者が合意に違反した場合、合意の相手方は合意から離脱することができる、検察官が合意に基づいた求刑をしたものの裁判所がこれより重い刑を言い渡した場合等、被疑者・被告人の供述内容が真実でないことが明らかになった場合等に検察官は合意から離脱することができるとされています。



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分割される共有物における共有関係の存続

2019-07-22

 共有関係が存続することを希望する者が存在する場合に共有物の一部を分割し残りの部分を共有にしておくことが共有物の分割請求訴訟において認められるのかという問題があります。

 このことが問題となった裁判例を見ると、最高裁平成4年1月24日判決が、土地の共有者が多数であるときに分割を請求する者の持分を分割し、その余を共有とすることを認めています。また、東京地裁平成5年6月30日判決が、土地の一部を共有とすることを認めています。



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共有物の価格賠償による分割

2019-07-16

 物の所有の形態としては単独所有のほかに共同所有(共有)が認められるところ、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」(民法256条1項)、「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる」(同法258条1項)などと規定されています。そこで、共有者は、共有物を分割することができますが、その方法として価格賠償による分割が認められるかが問題となります。

 この点、最高裁昭和62年4月22日判決は、「現物分割するに当たっては、・・・持分の価格に応じた分割をするとしても・・・取得する現物の価格に過不足をきたす事態の生じることは避けがたいところであり、このような場合には、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることも現物分割の一態様として許される」として価格賠償による分割を認めています。さらに、最高裁平成8年10月31日は、上記のような制限をつけずに、一定の要件のもとで全面的価格賠償を認めています。



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有名人による悪質商法の宣伝・広告

2019-07-08

 詐欺業者等がタレントなどの有名人を使用して宣伝・広告を行った場合、その有名人が悪質商法の推奨者として責任を負うかどうかという問題があります。

 そこで、悪質商法の宣伝・広告にかかわった有名人の責任が問題となった裁判例をみると、土地取引業者の宣伝パンフレットに推奨文を乗せたことが問題となった事案に関する大阪地裁昭和62年3月30日判決が、「被告会社あるいはその取り扱う商品の推薦を行う場合には、その推薦内容を裏付けるに足りる調査を行うべき義務がある」として不法行為の幇助責任を認めています。

 これに対し、抵当証券業者のテレビCMに出演したことが問題となった事案に関する東京地裁平成6年7月25日判決は、「テレビ放映することを前提とした広告に出演する者は、当該広告の視聴者が当該出演者の知名度、経験等を信用しその推奨する業者、商品であるということをひとつの動機として取引した場合に損害を被る危険があることを予見し得る場合には、当該広告に出演することを回避すべき義務を負う」としつつ、本件については自ら調査して予見すべき義務はないとして不法行為責任を否定しています。



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悪質商法と宣伝、広告媒体の責任

2019-07-01

 悪質商法による被害に新聞、雑誌、テレビなどによる宣伝、広告が影響している場合、悪質業者による宣伝・広告を掲載・放映した媒体の責任が問題となります。

 そこで、悪質業者による宣伝・広告を掲載・放映した媒体の責任が問題となった裁判例をみると、不動産業者から金員を詐取された事案に関する東京地裁昭和60年6月27日判決が、被告会社が推薦する業者、物件であるということで取引に入る顧客の信用を裏切らないようにするべき注意義務があるとしています。

 また、販売業者が倒産してマンションの引渡しを受けられなかった事案に関する最高裁平成元年1月9月19日判決が、新聞社について、広告内容の真実性に対する疑念を抱かせる特別事情があり、それによって読者が損害を蒙るおそれがあることの予見可能性がある場合のような具体的な事情の下では、真実性の調査・確認義務が認められるとしています。



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医療機関の説明義務―インフォームドコンセント

2019-06-24

 医療機関による診療行為を受けるにあたっては、適切な情報を与えられた上で患者が決定する(インフォームドコンセント)ため、診療過程を通して、医療機関は、患者に対し、説明をした上で診療行為ごとに同意をえる必要があると考えられています。

 この医療機関に要求される説明の内容や方法について、患者が宗教上の理由から輸血を拒否したことが問題となった事案に関して、最高裁平成12年2月29日判決が、手術に際して輸血する可能性があることを医師は説明しなければならないとしています。



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クレジット業者に対する抗弁の対抗

2019-06-17

 クレジット取引における販売契約とクレジット契約は当事者の異なる別個の契約ですが、購入者は、クレジット業者の支払請求に対し、販売契約についての無効・取消・解除等の事由をもって対抗できるとされています(抗弁の対抗、抗弁の接続 同法30条の4、35条の3の19)。
 この規定の性質については争いがありますが、判例は、上記の抗弁の対抗はこの規定によって創設的に認められたという創設的規定説を採用している(最高裁平成23年10月25日判決、最高裁平成2年2月20日判決)と評価されています。



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医療過誤を判断する基準としての医療水準

2019-06-10

 医療過誤においては医療機関に課される注意義務の程度が問題となるところ、この程度を判断する基準として医療水準という概念が存在します。

 この医療水準に関する裁判例を見ると、最高裁平成7年6月9日判決は、「新規の治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情が存しない限り、右知見は右医療機関にとっての医療水準である」と判示しています。

 なお、この医療水準から要求される注意義務を軽減する特約の効力に関する裁判例として、東京高裁昭和42年7月11日判決は、手術の結果について異議を申し立てないとする誓約書についてその効力を否定しています。



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医師の診療拒否による法的責任

2019-06-03

 契約については契約締結の自由が認められるとされているところ、医師については「診療に従事する医師は、診察治療の要求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とされ、いわゆる応召義務が規定されている(医師法19条1項)ことから、診療拒否の法的責任が問題となります。

 そこで、医師や医療機関の診療拒否についての法的責任が問題になった裁判例を見ると、神戸地裁平成4年6月30日判決が診療拒否について不法行為上の過失が推定されることと医療機関の不法行為に基づく責任が肯定される場合があることを判示しています。



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