Archive for the ‘お知らせ’ Category
建物の借主の追い出し屋
不動産に関するトラブルにはさまざまなものがありますが、建物の鍵を交換して賃借人を締め出すなどのいわゆる「追い出し屋」による被害が近時増加しているようです。賃借人の了解を得ずに部屋の鍵を交換して賃借人が建物に入ることをできなくしたり、賃借人の了解を得ずに部屋の中に入って賃借人の持ち物を外に運び出すといったことをします。
そこで、このような追い出し屋が問題になった事案に関する裁判例を見ると、大阪高裁平成23年6月10日判決が、賃借人を追い出し、室内にある動産を処分した不動産の管理業者と賃貸人の共同不法行為を認めています。
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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
不動産に関する消費者被害
詐欺的な取引によって消費者被害が生じることがあるところ不動産に関するものとして価値の乏しい土地を売りつける原野商法や不要なリフォーム工事を行わせるようなリフォーム詐欺があります。
原野商法については所定の要件をみたす場合にクーリングオフによる契約の解除(宅地建物取引業法37条の2)が可能となりますが、クーリングオフができない場合でも契約を錯誤により無効(東京地裁昭和58年6月29日判決)、公序良俗違反(名古屋地裁昭和63年7月22日判決)とした裁判例、不法行為の成立を認めた裁判例(東京地裁平成2年9月5日判決、大阪高裁平成7年5月30日判決)があります。 また、リフォーム詐欺についてもクーリングオフや不実告知による契約の取消(消費者契約法4条1項1号、同条5項3号)などが考えられるところ、さらに、請負人の瑕疵担保責任と不法行為を認めた裁判例(高松高裁平成20年2月21日判決)があります。
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金融商品取引と適合性原則
金融商品取引においては、顧客(消費者)保護という観点から、適合性原則という法理が問題とされます。
この法理については最高裁平成17年7月14日判決が、「適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、当該行為は不法行為法上も違法となる」とし、この判決を受けて金融商品取引法(金商法)40条1号が「金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。 一 金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることとなっており、又は欠けるおそれがあること」と規定しています。
なお、日本証券業協会による自主規制規則として、「新たな有価証券等の販売を行うにあたっては、当該有価証券等の特性やリスクを十分に把握し、当該有価証券等に適合する顧客が想定できないものについては、販売してはならない」とする協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則3条3項があります。
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特商法が定める書面交付義務とクーリングオフ
一定の販売手法や特殊な取引を規制する法として特定商取引に関する法律(特商法)があります。そして、この特商法の規制対象である訪問販売等において法定の書面が交付されていない場合やその記載事項に欠落・虚偽がある場合、クーリングオフが可能とされています。
そこで、このような場合にあたるとしてクーリングオフを認めた裁判例を見ると、アポイントメントセールスによりダイヤを購入した事案につき、大阪地裁平成12年3月6日判決が、書面の提示をもって交付に換えることはできない、後日の送付は書面の交付にあたらないとしてクーリングオフを認めています。また、申込書に記載が欠けているがそれらが記載された注文書の控えを交付した事案につき、東京地裁平成12年3月6日判決が、「所定の記載要件は厳格に解すべきであり、記載要件が欠けている場合に、他の文書の記載をもってこれを補完することができると解すべきでない」としてクーリングオフを認めています。
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特定継続的役務提供と契約の中途解約
エステテイックサロン、英会話などの語学教育、パソコン教室などは特定継続的役務提供として特定商取引に関する法律(特商法)の規制の対象となるところ、このような役務の提供は長期間にわたることが多いため契約の中途解約権が認められており、また、損害賠償等の額が制限されています(同法49条)。
そこで、この中途解約に関する裁判例を見ると、契約が中途解約された場合の受講料の精算が問題となった事案につき、最高裁平成19年4月3日判決は、「本件料金規定は、契約締結時において、将来提供される各役務について一律の対価額を定めているのであるから、それとは別に、解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、実質的には、損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので、上記各規定の趣旨に反して受講者による自由な解除権の行使を制約するものといわざるを得ない。そうすると、本件清算規定は、役務提供事業者が役務受領者に対して法49条2項1号に定める法定限度額を超える額の金銭の支払を求めるものとして無効というべきであり、本件解除の際の提供済役務対価相当額は、契約時単価によって算定された本件使用済ポイントの対価額と認めるのが相当」として契約時の単価によって算定すべきとしています。
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離婚に伴う財産分与と退職金
夫婦が離婚する場合、婚姻中に形成した財産が財産分与の対象となりますが、将来支給される退職金がこの財産分与の対象となるのか、なる場合にその支払時期はいつになるのかという問題があります。
この問題に関する裁判例を見ると、東京高裁平成10年3月13日決定は、「将来支給を受ける退職金であっても、その支給を受ける高度の蓋然性が認められるときには、これを財産分与の対象とすることができる」とした上で、退職金が支給されたときに支払うものとしていますが、東京地裁平成11年9月3日判決は、「中間利息(法定利率年5パーセント)を複利計算で控除して現在の額に引き直し、その5割に相当する額を」即時に支払うものとしています。
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養育費の変更
夫婦は、離婚した後も子を扶養する義務を負い(民法877条1項)、当事者間の合意、調停、審判等で子の養育費が決められることがありますが、事情の変更によって決められた養育費が変更されることがあります。
大阪家裁平成元年9月21日審判は、「合意後に事情の変更を生じたときは・・・その内容の変更を求め、協議が調わないときはその変更を家庭裁判所に請求することができる」として合意によって定めた額を変更した額の支払請求を認めています。
また、東京家裁平成2年3月6日審判は、「本件公正証書で成立した本件合意事項に基づく養育費の支払ないし負担義務を現在もそのまま」「負わせることは、これが今後も相当長期間にわたる継続的給付を内容とするものであることにも照らした場合、客観的に相当性を失した状況になっていることは否定し得ない」として、東京家裁平成18年6月29日審判は、「養育費は、その定期金としての本質上、毎月ごとに具体的な養育費支払請求権が発生するものであるから、そもそも本件期限の利益喪失約定に親しまない性質のものというべきであり、また、養育費の庭訓としての本質から生じる事情変更による減額変更が、本件期限の利益喪失約定により許されなくなくなる理由もない」として公正証書によって定めた養育費の減額を認めています。
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不動産の借主による迷惑行為
不動産の賃貸借、使用貸借における借主の迷惑行為によってトラブルになることがあります。
借主の迷惑行為が問題となった裁判例を見ると、野鳩の餌付け・飼育による障害に基づく損害の賠償請求等が問題となった事案について、東京地裁平成7年11月21日判決は、「区分所有者の共同の利益に反する行為であり、その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難な場合に当たる」として損害賠償請求を認めています。
また、騒音等の迷惑行為による契約の解除、競売請求等が問題となった事案について、東京地裁平成17年9月13日判決は、被告が「本件専有部分等を所有し続けることは、必然的に本件マンションの区分所有者の共同の利益に反することになる」「区分所有権及び敷地利用権の競売以外の方法によってはその障害を除去して共用部分の維持を図ることが困難である」として競売請求等を認めています。
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管理組合の役員に対する誹謗中傷と共同の利益に反する行為
マンション等の区分所有者が複数存在する不動産では「区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法6条1項)について差止請求(同法57条)等が考えられるところ、管理組合の役員に対する誹謗中傷がこの「区分所有者の共同の利益に反する行為」にあたるかどうかが問題となったことがあります。
最高裁平成24年1月17日判決は、「マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し、マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は、それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので、それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には、法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある」と判示しています。
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2019 新年のご挨拶
新年、明けましておめでとうございます。
皆様におかれましてはつつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
社会の変化に伴って生じてきた新たな法的ニーズに適切・迅速に対応して社会に貢献できるように、ひらま総合法律事務所は、今後も研鑽を続けます。
【国際社会への貢献】
グローバル化が進む中、国際的なルール作りのための法改正や海外事業の拡大、海外在留の邦人や在留外国人がかかわる問題などに適切に対応するためには国内法についての理解だけにととどまらず外国の法制度についての知識・理解が必要になってきます。
ひらま総合法律事務所では、海外の法制度やグローバル化に対応するための法改正に注目し、これらに関する情報を積極的に発信していきます。
【国内経済への貢献】
日本経済の再興に向けての経済政策の実施や2020年の東京でのオリンピック・パラリンピックの開催決定等が企業に新たなビジネスチャンスをもたらすことが期待されますが、一方で、企業活動に伴う様々な法的リスクの回避・低減が重要になってきます。
ひらま総合法律事務所では、法的な視点でビジネスに対する支援を行い、活躍する経営者や起業を目指す皆さんのニーズに応えます。
【国内社会への貢献】
個人の日常生活においても相続に関する争い、家族に関する問題、労働問題、住居に関するトラブル、逮捕、犯罪による被害など様々な法的問題に直面することがありますが、法律問題の専門家によるサポートを受けることでこのような法的トラブルを解決出来ることがあります。
ひらま総合法律事務所では、法的なサポートを行ってこのような法的トラブルの解決のお手伝いをします。
ひらま総合法律事務所
所長弁護士 平 間 民 郎
職員一同