Archive for the ‘企業法務’ Category

責任無能力者が第三者に加えた損害についての監督者の責任

2020-02-03

 民法714条は、「監督する法定の義務を負う者」「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者」が、責任無能力者による第三者に対する損害について賠償をすることを定めています。

 そして、この責任の成立には「責任無能力者がその責任を負わない場合」であることが必要とされますが、最高裁昭和49年3月22日判決が「未成年者が責任能力を有する場合であっても監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立する」としています。



【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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被用者が第三者に対し加えた損害についての使用者の責任(使用者責任)

2020-01-27

 民法715条は、「ある事業のために他人を使用する者」が、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害の賠償をすると定めています(使用者責任)。

 そして、この責任の成立には①「ある事業のために他人を使用する」という関係(使用関係)の存在が必要とされるところ、裁判例見ると、この使用関係が認められるには実質的に指揮監督の関係があれば足りるとしています(最高裁昭和41年7月21日判決、最高裁昭和56年11月27日判決等)。

 また、この責任の成立には②「被用者が事業の執行について」第三者に損害を加えたこと(事業執行性)が必要とされるところ、裁判例を見ると、取引的行為について最高裁昭和40年11月30日判決が「被用者の職務遂行行為そのものには属しないが、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をも包含する」とし、事実的行為について最高裁昭和46年6月22日判決が「事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為によって」損害が発生した場合にこれが認められるとしています。



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他人の訴訟に利害関係を有する者による補助参加

2019-11-25

 債務者が債権者から訴訟を提起された場合にその債務者の保証人がその訴訟に参加するように第三者が自己の利益を守るために他人の訴訟に参加する制度として補助参加があります。

 補助参加人は、被参加人を助けて訴訟を追行することになります。

 この制度を利用するには、①他人の間で既に訴訟が係属していることと②訴訟の結果について法律上の利益である補助参加の利益があることが必要であり、一方の当事者の親友や親せきであるといったことによる感情的な利益はこの補助参加の利益とは認められない(東京高裁昭和50年5月16日決定)とされています。

 また、補助参加人は、原則として訴訟行為をすることができます(独立性)が、被参加人が行うことのできない行為や被参加人の行為と矛盾・抵触する行為はできない(従属性)とされています。

 そして、被参加人が敗訴した場合、一定の事項について、被参加人と補助参加人との間の後訴において被参加人敗訴の確定判決の内容が前提とされます(参加的効力)。



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携帯電話に関する法規制

2019-11-18

 スマートフォンを含む携帯電話が普段の生活に普及していますが、振り込め詐欺などで利用されるといった問題も生じており、このような問題点に対応するための法律が作られています。

 まず、携帯電話不正利用防止法をあげることができます。携帯電話の不正利用を防止することを狙った法で、契約に際しての本人の確認義務(同法3条)などを定めています。

 また、青少年インターネット環境整備法をあげることができます。青少年を有害情報から守ることを狙った法で、暴力、ポルノ、薬物などに関する情報を有害情報として事業者に対しフイルタリングサービスを提供するなどの義務を課しています。



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サクラサイトによる被害

2019-11-11

 芸能人に会うことができるなどとうたってサイトを利用させ金銭をだまし取るいわゆるサクラサイトによる被害が問題となることがあります。

 この被害に関する裁判例を見ると、さいたま地裁越谷支部平成23年8月8日判決が、詐欺にあたるサイト運営を行っていたとして運営者の不法行為責任を認めています。また、東京高裁平成25年6月19日判決もサイトの運営者について不法行為責任を認めています。



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製造物の欠陥の判断基準

2019-11-05

 製品事故による被害についての責任である製造物責任を定める製造物責任法は、「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」を「欠陥」として(同法2条1項)その責任要件としています。そして、その判断要素を定めている(同法2条2項)ところ、この「欠陥」の有無の判断にあたり技術的可能性や予見可能性などをどのように評価するかという問題があります。

 そこで、この問題に関する裁判例を見ると、京都地裁平成30年2月20日判決が「欠陥の有無に関し、「引渡し当時の技術水準」を考慮するに当たっては、欠陥の予見可能性を一応前提として、その欠陥なくして同等の効用を実現する代替設計の技術的可能性を考慮するのが相当である」としています。



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出会い系サイトに関するトラブル

2019-10-28

 インターネットに関するトラブルの中にいわゆる出会い系サイトについてのトラブルがありますが、この出会い系サイトを規制するものとしてインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法)があります。
 この法律の内容をみると、

① 事業者に対する規制として、児童利用禁止の明示(同法10条)、児童でないことの確認(同法11条)、都道府県公安委員会の是正命令(同法13条、14条)、

② 利用者に対する規制として、性交等の相手方となるように誘引する行為の禁止(同法6条)

などが定められています。



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製造物責任の責任主体である「製造業者等」

2019-10-21

 製品事故による被害についての損害賠償責任を製造物責任といいます。そして、製造物責任法は、「製造業者等」をこの責任の主体(同法3条)とし、同法2条3項は、この「製造業者等」について規定しています。

 そこで、この責任主体にあたるかどうかが問題となった裁判例を見ると、洗顔石鹸によるアレルギー症状が問題になった事案について、東京地裁平成30年6月22日判決が洗顔石鹸の販売業者をこの責任主体にあたるとしています。



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訪問購入に対する特定商取引法による規制

2019-10-21

 消費者被害が多くみられる取引形態を規制する法として特定商取引法が存在しますが、2012年に訪問購入がこの法による規制の対象に追加されています。

 そして、同法は、この訪問購入について以下のような規制をしています。

①  不招請勧誘の禁止(同法58条の6第1項)

②  訪問目的の明示、勧誘についての同意を得ることの義務付け、再勧誘の禁止(同法58条の5、同6)

③  申込書面と契約書面の交付の義務付け(同法58条の7、同58条の8)

④  8日間のクーリングオフ(同法58条の14等)

⑤  不実の告知、故意による事実の不告知、威迫困惑行為の禁止(同法58条の10)



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投資信託の購入による被害

2019-10-15

 投資信託は、投資者から集めた資金を運用の専門家が株式や債券などに投資して運用する金融商品です。

 投資信託は、さまざまな資産に対して投資できる、運用が専門家によって行われるといったメリットがあるものですが、内容の理解が難しいものがある、元本が保証されていないといったことなどからその購入により損失を被ったとしてトラブルが生じることがあります。

 そこで、投資信託の購入による損失が問題となった裁判例を見ると、大阪地裁平成18年4月26日判決が、証券取引経験のない高齢の主婦に乗り換え売買等を行わせた事案について説明義務違反や無意味な売買などにあたるとして賠償責任を認めています。また、東京地裁平成23年2月28日判決が、高齢者に対しリスクの大きいノックイン型投資信託の購入を勧誘した事案について説明義務違反にあたるとして賠償責任を認めています。



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