Archive for the ‘男女問題’ Category
親権を行う父または母と子の利益相反行為
親権を行う父または母とその子との利益が相反する行為について、親権を行う父または母は、その子のための特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(民法826条1項)とされています。
そこで、当該行為がこの利益相反行為に該当するかどうかが問題となった裁判例を見ると、子の財産を親権者に譲渡する行為は該当しますが、親権者から子に無償で財産を譲渡する行為は該当しない(大審院昭和6年3月9日判決等)とされています。
また、遺産分割は該当します(最高裁昭和49年7月22日判決)が、親権者が未成年者全員を代理して相続を放棄することは該当しない(最高裁昭和53年2月24日判決)とされています。
また、子のための特別代理人の権限が問題となった裁判例を見ると、親権者の一方のみと利益相反する場合、特別代理人と他方の親権者との共同代理となる(最高裁昭和35年2月25日判決)、選任された特別代理人と未成年者との間で利益が相反する場合、その特別代理人は付与された権限を行使できない(最高裁昭和57年11月18日判決)とされています。
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ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
内縁関係の当事者が死亡した場合における財産分与
夫婦が離婚する場合、財産分与(民法768条)が問題となるところ、内縁関係の当事者の一方が死亡した場合にも上記規定が適用されるのかという問題があります。
この問題に関する裁判例を見ると、その一方が死亡したことによって内縁関係が消滅した場合に関し、最高裁平成12年3月10日判決が、「離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、純婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得るとしても、死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである。
また、死亡した内縁配偶者の扶養義務が遺産の負担となってその相続人に承継されると解する余地はない」として、民法768条の類推適用を否定しています。
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夫婦の同居義務と同居の拒否
夫婦は、同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条)と規定されているところ、この同居の拒否が問題となることがあります。
そこで、この同居の拒否に関する裁判例を見ると、同居を請求する側の暴力(大阪高裁昭和34年9月5日決定)や協力義務違反(東京高裁昭和40年7月16日決定)が同居を拒否できる事由になるとされています。また、婚姻が破綻して夫婦たるの実を失っていること(大阪高裁昭和62年11月19日決定)も同居を拒否できる事由になるとされています。
なお、夫婦間調整調停において、「夫婦は当分の間別居する」とするいわゆる別居調停が行われることがあります。
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養育費を請求しないという合意の効力
離婚する夫婦に子供がいる場合、子供の養育費の扱いが問題となるところ、監護親になる側が以後養育費を一切請求しないとか一定額を受領した上で以後養育費を一切請求しないといった合意をすることがあります。
この合意が問題となった裁判例を見ると、父母の間の合意は扶養料算定の一事情とすることができるが子を拘束しないとするもの(東京高裁昭和38年10月7日決定)や父母の間の合意は債権的な効力を持つにすぎないとして子を拘束しないとするもの(札幌高裁昭和51年5月31日決定)があります。
一方、事情の変更がない限り、父母の間の合意は子を拘束するとするもの(札幌高裁昭和51年5月31日決定)もあります。
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婚姻・内縁の不当破棄による損害賠償
婚約、内縁は身分上の関係として婚姻と区別されます。しかし、これを不当に破棄すれば婚姻を破壊した場合と同様に損害賠償義務を負うことになります(民法709条、710条等)。
婚姻に関する裁判例を見ると、長期間にわたり肉体関係が継続した事案に関し、最高裁昭和38年9月5日判決は、結納の授受や同棲がなかったとしても婚約が成立するとした上で、これを不当に破棄した者は慰謝料の支払義務を負うとしています。
また、内縁に関し、最高裁昭和33年4月11日判決は、内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し、婚約予約の不履行や不法行為を理由として損害賠償を請求できるとし、最高裁昭和38年2月1日判決は、第三者であっても内縁関係に不当に干渉してこれを破綻させた者は、不法行為による損害賠償義務を負うとしています。
一方、住居・生計が別で子供の養育は男性側が行うという約定をして意図的に婚姻を回避していたという事案に関し、最高裁平成16年11月18日判決は、その継続について法的な権利・利益を有するとはいえないとして、その関係を突然かつ一方的に解消されたとしても不法行為による慰謝料の支払を請求できないとしています。
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不貞行為(不倫)に基づく不法行為責任
夫婦の一方が不貞行為(不倫)を行った場合、不貞行為に基づく不法行為責任が問題となります。
そこで、この不貞行為による不法行為責任が問題になった裁判例を見ると、故意・過失が認められる限り、夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、相手方を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両者の関係が自然の情愛によって生じたかどうかにかかわらず、他の配偶者の権利を侵害したとして不法行為責任を負います(最高裁昭和54年3月30日)が、夫婦の婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特別の事情のない限り、第三者は、他の配偶者に対して不法行為責任を負わない(最高裁平成8年3月26日判決)とされています。
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養育費の分担とその始期・終期
民法766条1項の「子の監護をすべき者その他監護について必要な事項」には養育費の分担が含まれるとされています。
養育費をいつから分担するかについては、その支払いを請求する調停・審判の申立時からとしているケースが一般的なようです(東京家裁昭和54年11月8日審判、東京高裁昭和58年4月28日決定など)が、認知の審判が確定した直後に養育費の分担調停が申し立てられた事案に関し、大阪高裁平成16年5月19日決定は、認知された幼児の出生時に遡って養育費の分担額を定めています。
また、養育費をいつまで負担するかについては、未成熟子にあたらなくなる20歳まで、または大学卒業までなどとするのが一般的なようですが、大学院の卒業までなどとするケースも多くなっているようです。
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子との面会交流とその許否の判断基準
民法766条1項の「子の監護をすべき者その他監護について必要な事項」には子との面会交流(面接交渉)が含まれ、「離婚の際に未成年の子の親権者と定められなかった親は、子の監護に関する処分の1つとして子との面接交渉を求めることができる」(東京高裁平成19年8月22日決定)とされています。
そして、上記東京高裁決定は、「面接交渉が現実的に子の福祉に合致するかどうかという観点から判断されなければならない」とした上、「現在の状況において、未成年者らと申立方との面接交渉を実施しようとするときには、未成年者らに対して相手方に対する不信感に伴う強いストレスを生じさせることになるばかりか、未成年者らを父親である相手方と母親である抗告人との間の複雑な忠誠葛藤の場面にさらすことになるのであり、その結果、未成年者らの心情の安定を大きく害するなど、その福祉を害するおそれが高いものといわなければならない」として面接交渉の申立てを却下しています。
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婚姻費用とその分担の始期、その変更・取消
夫婦は、その資産、収入、その他一切の事情を考慮して婚姻から生ずる費用(婚姻費用)を分担する(民法760条)とされています。
そして、婚姻費用とは、夫婦と未成熟の子によって構成される婚姻家族がその資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するのに必要な費用(大阪高裁昭和33年6月19日決定等)で、通常の衣食住の費用、子の教育費、子の出産費用、医療費などがこれにあたるとされています。
いつからこれを分担するかについては過去にさかのぼった時点から支払いを命ずることができる(最高裁昭和40年6月30日決定)とされ、調停申立てなど権利者から義務者に対し請求した時点までさかのぼって請求できるとする(東京高裁昭和60年12月26日決定など)のが一般的なようです。
また、調停が成立したり審判が確定した場合でも、その後にそれらの基礎となった事情に変化が生じたときは、婚姻費用分担義務の変更・取消の調停・審判をすることができる(大阪高裁昭和49年2月28日決定)とされています。
なお、内縁の夫婦も婚姻費用の分担請求が可能(最高裁昭和33年4月11日判決)とされています。
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扶養されていた配偶者が離婚した後の年金
厚生年金に加入している夫の被扶養者となっている妻は、被保険者年金(厚生年金・共済年金)の被保険者の被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者になりますが、離婚して就職しない場合、国民年金の第1号被保険者になります。
そこで、この場合、第1号被保険者への種別変更の届出が必要になります(以上につき、国民年金法7条、12条等)。第1号被保険者の届出は、住所地の市区町村役場で行います。
そして、第1号被保険者になった月から保険料を納付することになります(同法87条等)。
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