Archive for the ‘お知らせ’ Category
過失運転致死傷罪の新設・移動
2007年に自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)が新設されましたが、この規定は2013年に自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)5条に移りました。
この規定をみると、法定刑の上限が業務上過失致死傷罪の5年(刑法211条1項)より重い7年となっています。また、傷害が軽い場合は情状によりその刑を免除することができるとされています。
なお、この規定ができたことによって他の過失犯との適用関係が問題となりますが、東京高裁平成25年6月11日判決は、自動車の運転者が降車のため運転席のドアを開けて事故になった事案について、運転過失ではなく業務上過失としています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
強姦罪等の個人の性的自由に対する罪に関する法改正
2017年の法改正により、監護者わいせつ及び監護者性交等罪(刑法179条)が新設されるとともに集団強姦罪及び準集団強姦罪とその致死傷罪が廃止され、また、強姦罪が行為態様を「性交」等とし被害者を女子に限定しない強制性交等罪に改められ、その刑の下限が3年から5年に引き上げられました(同法177条)。さらに、その処罰を被害者の意思に委ねることにする親告罪の規定(同法180条)が削除されました。
監護者わいせつ及び監護者性交等罪は、父母等の18歳未満の者を現に監護する者が18歳未満の者に対しわいせつな行為や性交等をしたことを対象としています。
また、強制性交等罪は、行為態様を「性交」等とし、被害者を女子に限定していません。なお、婚姻ないし内縁関係にある男女の間でも本罪が成立するかという問題がありますが、裁判例を見ると広島高裁松江支部昭和62年6月18日判決が、「婚姻中夫婦が互いに性交渉を求めかつこれに応ずべき関係にある」としながら、別居中の夫が第三者とともに妻を輪姦したという事案につき強姦罪の成立を認め、また、東京高裁平成19年9月26日判決が、関係が破綻していた夫婦に関する事案につき夫にも強姦罪が成立しうるとしています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
差押債権者による取立て
差押命令が債務者に送達されて1週間が経過すると、差押債権者は、第三債務者から直接取立てをすることができます(民事執行法155条1項)。そして、この取立権によって、差押債権者は、自己の名において、差押債権に関し債務者の権利を行使できるとされており、最高裁平成11年9月9日判決は、生命保険に関し債務者の有する解約権を行使することができるとしています。
差押債権者が取立権を行使して第三債務者から支払いを受けたときはその限度で弁済を受けたものとみなされます(同法155条2項)。差押債権者は、取立権の行使により第三債務者から支払いを受けたときは直ちにその旨を執行裁判所に届け出なければならないとされています(同法155条3項)。
また、差押債権者が取立権に基づいて取立てをしたが第三債務者が支払わない場合や差押等が競合したのに供託しない場合、差押債権者は、取立訴訟を提起することができます(同法157条)。そして、差押債権者は、取立訴訟の判決に基づいて第三債務者の財産に対して強制執行をすることができます。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
危険運転致傷罪の行為態様
2013年の法改正により、刑法208条の2の危険運転致致死傷罪や同法211条2項の自動車運転過失致死傷罪などが「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷行為処罰法)に移り、また、準危険運転致死傷罪が新設(同法3条)されました。
危険運転致死傷罪の行為態様は、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で運転し人を死傷させた場合の
①酩酊運転致死傷(同法2条1号)、進行を制御することが困難な高速度で運転し人を死傷させた場合の
②高速度運転致死傷(同法2条2号)、進行を制御する技能を有しないで運転し人を死傷させた場合の
③未熟運転致死傷(同法2条3号)、人または車の通行を妨害する目的で著しく接近しかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の
④妨害運転致死傷(同法2条4項)、赤色信号等をことさらに無視しかつ重大な危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の
⑤信号無視運転致死傷(同法2条5号)、通行禁止道路を進行したりしかつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転し人を死傷させた場合の
⑥通行禁止道路運転致死傷(同法2条6号)です。そして、これらにおいて死傷の結果についての故意は不要とされています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
債権に対する強制執行
債権に対する執行には、債権執行と債権担保権の実行がありますが、債権執行が利用されることが多いようです。
債権執行とは、金銭債権や引渡請求権を差し押さえ、換価・配当をする手続です(民事執行法143条等)。強制執行で必要とされる執行費用も、当該手続で取り立てることができる(同法42条)とされています。
債権執行の申立は、債務者の普通裁判籍の所在地か差し押さえる債権の所在地を管轄する地方裁判所に対して行います(同法144条第1項)。
強制執行は、請求債権の期限到来後に開始することができるのが原則(同法30条1項)ですので、弁済期がある場合や期限の利益の喪失が条件の場合、弁済期の到来や期限の利益の喪失を主張することになります。
また、差押債権の特定が必要とされ、差押債権が不特定である債権差押命令は無効とされます(最高裁昭和46年11月30日判決)。
執行裁判所は、債務者に対して差押債権の処分行為を禁止し、第三債務者に対して債務者への弁済を禁止する命令を発します(同法145条第1項)。そして、差押債権者は、債務者に差押命令が送達されてから1週間が経過すれば差押債権を取立てることができます(同法155条)。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
消費税率の変更
平成28(2016)年11月28日に施行された法律(平成28年法律第85号及び第86号)に基づき,令和元(2019)年10月1日から消費税及び地方消費税の税率が10%へ引き上がりました。
これにより費用については,改正消費税法並びに消費税転嫁対策特別措置法(平成28年法律第85号)に準拠し,新税率の適用を受ける部分については新税率(10%)にて計算しご請求いたします。予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
刑事訴訟法「人を死亡させた罪」の時効期間の延長と時効の廃止
一定の期間が経過することによって公訴を提起できなくなる公訴時効という制度が存在しますが、2010年にこの制度の改正が行われました。
すなわち、刑事訴訟法は、「人を死亡させた罪であって禁固以上の刑に当たるものについて」時効期間を30年等に延長しました。また、これについて「死刑に当たるものを除く」として、殺人、強盗殺人等について時効を廃止しました(同法第250条第1項)。
なお、この改正法は、同法施行の際に公訴時効が完成していないものについては適用されますが施行の際に公訴時効が完成しているものには適用されません(改正法附則第3条第2項)。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
共有物分割請求訴訟と遺産分割審判の関係
共同相続人が遺産を分割する場合、遺産分割の手続(民法907条)によることになりますが、第三者が共同相続人か共有持分権を譲り受けた場合にどのような手続きによって共同所有関係を解消するかという問題があります。
そこで、この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和50年11月7日判決が、「第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続きは、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟である」としつつ「右分割判決によって共同相続人に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象となる」と判示しています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
協議・合意手続
2016年における法改正により一定の財政経済犯罪と薬物銃器犯罪を対象(刑訴法350条の2第2項)として協議・合意手続が導入されました。
1 合意手続 合意の内容となる被疑者・被告人の行為は、他人の刑事事件について、取調べ・証人尋問の際に真実の供述をすること、証拠の提出その他必要な協力をすること、検察官の処分は、被疑者・被告人の事件ついて公訴を提起しないこと・取り消すこと、特定の訴因・罰条により公訴を提起・維持すること、特定の訴因・罰条の追加・撤回・変更を請求すること、論告で特定の刑を科すべき旨の意見を陳述することとされています。
2 協議手続 検察官は、協議において、被疑者・被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる(聴取手続)とされています。
3 合意が成立した場合には合意内容書面が作成されます。そして、合意をした被疑者の事件について公訴を提起したとき、検察官は、公判において遅滞なく合意内容書面の取調べを請求しなければならない、また、合意に基づく被疑者・被告人の供述が証拠として用いられる他人の刑事事件の公判においても、合意内容書面の取り調べを請求しなければならないとされています。
なお、合意の当事者が合意に違反した場合、合意の相手方は合意から離脱することができる、検察官が合意に基づいた求刑をしたものの裁判所がこれより重い刑を言い渡した場合等、被疑者・被告人の供述内容が真実でないことが明らかになった場合等に検察官は合意から離脱することができるとされています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
分割される共有物における共有関係の存続
共有関係が存続することを希望する者が存在する場合に共有物の一部を分割し残りの部分を共有にしておくことが共有物の分割請求訴訟において認められるのかという問題があります。
このことが問題となった裁判例を見ると、最高裁平成4年1月24日判決が、土地の共有者が多数であるときに分割を請求する者の持分を分割し、その余を共有とすることを認めています。また、東京地裁平成5年6月30日判決が、土地の一部を共有とすることを認めています。
【お問い合わせ先】
〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号 白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)
« Older Entries Newer Entries »