Archive for the ‘男女問題’ Category

精神病を原因とする離婚請求と裁量棄却

2018-10-08

 民法770条1項は、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)を離婚原因として規定しているところ、当該離婚原因による離婚請求においては裁量棄却条項(同条2項)の適用がしばしば問題となります。

 そこで、精神病を原因とした離婚請求に関する裁判例を見ると、最高裁昭和33年7月25日判決は、「民法770条は、あらたに「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」を裁判上離婚請求の一事由としたけれども、同条2項は、右の事由があるときでも裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは離婚の請求を棄却することができる旨を規定しているのであって、民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一事をもって直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである」と判示しています。

 また、最高裁昭和45年11月24日判決は、上記判例を踏まえた上、「これらの諸般の事情は、前記判例にいう婚姻関係の廃絶を不相当として離婚の請求を許すべきではないとの離婚障害事由の不存在を意味し、・・・民法770条1項4号に基づく離婚の請求を認容した原判決は正当として是認することができる」と判示しています。

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〒108-0072東京都港区白金一丁目17番2号  白金アエルシティ 白金タワー テラス棟4階
ひらま総合法律事務所 弁護士 平間民郎(Tel:03-5447-2011)

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認知されていない子との間での扶養の権利義務

2018-09-10

 嫡出でない子と父との法律上の父子関係は認知によって発生するところ、認知のない血縁上の父子の間に扶養の権利義務関係は生じないかという問題があります。

 この問題に関する裁判例をみると、東京地裁昭和54年3月28日判決は、「非嫡出子については、父が認知しないかぎり法律上の父子関係が発生しなく、法律上の父子関係がない以上父は単に血縁上の子に対しては扶養義務を負わない」と判示しています。

 一方、認知請求訴訟の係属中でその判決が確定する前に扶養を請求した事案について、福岡家裁昭和40年8月6日審判は、認知請求を正当として扶養義務を肯定し、また、請求者が内縁の夫の子であると推定される事案について、東京家裁昭和50年7月15日審判は、認知請求事件の判決をまたずに扶養義務を肯定しています。

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内縁関係における費用の分担

2018-09-03

 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して婚姻から生じる費用(婚姻費用)を分担する(民法760条)とされているところ、内縁も婚姻に準ずる関係として婚姻におけるのと同様の費用の分担が認められるかどうかが問題となります。

 そこで、この問題に関する裁判例をみると、最高裁昭和33年4月11日判決が「内縁が法律上の婚姻に準ずる関係と認むべきであること前記説明の如くである以上、民法760条の規定は、内縁に準用されるものと解すべき」とした上、「被上告人の支出した医療費は、別居中に生じたものであるけれども、なお、婚姻から生じる費用に準じ、同条の趣旨に従い、上告人においてこれを分担すべきものといわなければならない」と判示しています。

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不貞の相手方に対する他方の配偶者からの損害賠償請求

2018-04-16

 夫婦の一方が不貞行為を行った場合、他方の配偶者に対する貞操義務違反となりますが、さらに、不貞の相手方に対する損害賠償請求が問題になります。
 この点、裁判例を見ると、明治民法の頃から、他方の配偶者による不貞の相手方に対する損害賠償請求を認めています。最高裁昭和34年11月26日判決は、夫のいることを知りながら妻と肉体関係を結んだ相手方に対する損害賠償請求を認め、また、最高裁昭和54年3月30日判決は、「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず」夫又は妻としての権利を侵害するとし、他方の配偶者の苦痛を慰藉すべき義務があるとしています。

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離婚原因としての浮気・不倫などの不貞行為

2018-04-02

 夫婦の間で協議が調わず、また、家庭裁判所の調停によっても離婚の合意に至らなかった場合、民法770条1項が規定する離婚原因を主張して裁判所に対して離婚を請求することが考えられるところ、同条1項1号は、不貞行為を離婚原因としています。
 そこで、不貞行為に関する裁判例を見ると、夫が知人と共謀して女性を強姦した場合について、最高裁昭和48年11月15日判決は、相手方の女性に自由な意思はないがこのような夫の行為も不貞行為になるとしています。
 また、妻が売春をした場合について、最高裁昭和38年6月4日判決は、売春をした妻の行為は不貞行為にあたるが、夫からの離婚請求が認められるためには、離婚請求を肯定するに足りる特段の事情の存在が必要であるとしています。
 なお、相手方に不貞行為が存在する場合でも、裁判所の裁量によって離婚請求を棄却することができ(同条2項)、離婚請求を棄却した裁判例(東京地裁昭和25年12月6日判決)もあります。

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遺産分割協議の法定・合意解除

2018-03-05

遺産分割協議において債務の負担について合意することがありますが、その債務の不履行を理由として遺産分割協議を解除することができるかという問題があります。
 この問題に関する裁判例を見ると、分割協議で合意された債務の不履行を理由として遺産分割協議を解除することはできないとしており、最高裁平成元年2月9日判決は、相続人のうちの一人が協議によって負担した債務を履行しなくても、債権を有する相続人は、民法541条により協議を解除することはできないとしています。
 これに対し、遺産分割の合意解除に関する裁判例を見ると、これはできるとしているようであり、最高裁昭和62年1月22日判決は、相続人らは、遺産分割協議のうち土地に関する部分を相続人全員の合意によって解除し改めて分割協議をしたものであり、2回目の分割協議による土地の共有持分の取得は地方税法73条の7第1号所定の「相続に因る不動産の取得」に該当するとし、また、最高裁平成2年9月27日判決は、共同相続人の全員が遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除したうえ、改めて遺産分割協議をすることは、法律上当然には妨げられるものではないとしています。

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親権者間での子の引渡請求

2018-02-26

別居している夫婦の間で子の奪い合いが生じて紛争になることがあります。そして、そのような紛争の中に親権者どうしが争うケースがあります。このような紛争に関する裁判例を見ると、母のもとにいた子を父が連れ去った事案について母からの人身保護請求が問題となった最高裁平成6年4月26日判決は、「拘束者による幼児に対する監護・拘束が権限なしにされていることが顕著である・・・ということができるためには、上記幼児が拘束者の監護の下に置かれるよりも、請求者の監護の下に置かれることが子の幸福に適することが明白であること、いいかえれば、拘束者が幼児を監護することが、請求者による監護に比して子の幸福に反することが明白であることを要する」が本件ではそのような事実は認められないとして引渡請求を否定しています。一方、離婚調停中に合意された面会の機会に父が幼児を連れ去った上、その後の調停に出頭しなかった事案について最高裁平成11年4月26日判決は、「父の上記行為は、調停手続の進行過程で当事者の協議により形成された合意を実力をもって一方的に破棄するものであって、調停手続を無視し、これに対する母の信頼を踏みにじったものであるといわざるを得ない。一方、本件において、母が被拘束者を監護することが著しく不当であることをうかがわせる事情は認められない。・・・被拘束者が、現在、良好な養育環境の下にあることは、上記の判断を左右しない」として引渡請求を認めています。

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虚偽の嫡出子・認知の届出と養子縁組

2018-02-05

夫婦が自分たちの子でない者を嫡出子として届け出たり、父が自分の子でない者を認知して届け出た場合、そのような嫡出子届・認知届は虚偽のものとして無効ですが、事実上親子として生活している場合、そのような届出を養子縁組の届出とみなすことができないかという問題があります。
 この問題に関する裁判例を見ると、最高裁昭和25年12月28日判決、最高裁昭和49年12月23日判決、最高裁昭和50年4月8日判決は、そのような届出について養子縁組届とみなすことを認めていませんが、両親の相続をめぐる確執から、実子がその両親及び実子と長年にわたって子として生活してきた者に対して提起した親子関係不存在確認の訴えについて最高裁平成18年7月7日判決は、「実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすものといえるときには、当該確認請求は権利の濫用に当たり許されない」と判示しています。

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離婚届等と不受理申出制度

2018-01-29

夫婦の一方が相手方の意に反して離婚届を提出しようとしているときにその届出を受理しないよう申し出るものとして不受理申出制度(戸籍法27条の2第3項)があります。
この申出がなされると、市町村長は、出頭者が本人であることを確認できない場合にはその届出を受理することが出来ません(同条4項)。そして、この場合、市町村長は、不受理申出者に対し、遅滞なく届出があったことを通知しなければならない(同条5項)とされています。
なお、この効力は、本人が死亡するか不受理申出の取下書が提出されるまで継続します。

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有責配偶者からの離婚請求

2017-11-27

当事者の婚姻関係が破綻している場合、裁判によって離婚を請求することが考えられるところ、婚姻関係の破綻について責任のある側(有責配偶者)からの離婚請求が認められるのかという問題があります。

この問題に関する裁判例としては、「踏んだり蹴ったり判決」と呼ばれる最高裁昭和27年2月19日判決が破綻について責任のある者からの離婚請求を認めないという考え方(消極的破綻主義)を採用したとされていますが、この判決が出た後、破綻についての責任が双方にある場合に責任の小さい者からの請求を認めるとした最高裁昭和30年11月24日判決や破綻後の異性との関係は有責行為にならないとした最高裁昭和46年5月21日判決を経て、最高裁昭和62年9月2日判決は、「有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を許容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない」と判示しています。

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